写真=Getty Images

SNS上で自らを獅子に見立てた画像で全チームに『警告』

NBA前年王者のキャバリアーズは、良くも悪くもレブロン・ジェームズ次第のチームだ。個人のスキルはもちろん、チームをまとめるリーダーシップ、相手チームをひるませる威厳を備え、NBA史に残る選手であることは、いまさら言うまでもない。

誤解を恐れずに言えば、キャブズは2016-17レギュラーシーズンの終盤戦を、連覇に向けた『調整』に費やした。最終的にセルティックスに東カンファレンス1位の座を譲ったのも、優勝するのにシード順は関係ないと考えているからだ。

開幕直後にJR・スミスが長期戦線離脱を余儀なくされると、ホークスとのトレードを成立させ、高確率で3ポイントシュートを決められるシャープシューターのカイル・コーバーを獲得。だが、キャブズ、いやレブロンは、コーバー一人の獲得だけで満足することはなかった。

レブロンはメディアを通じカイリー・アービングのバックアップが必要と強く訴え続け、キャブズはマーベリックスとの契約バイアウトでフリーエージェントになったデロン・ウィリアムズを獲得。そして、先発センターのトリスタン・トンプソンを支え、インサイドの守備強化のため、今度は同じくシーズン中にFAになったアンドリュー・ボーガットとも契約した。

これですべてのピースが揃ったかに思われた矢先、そのボーガットはデビュー戦で今シーズン終了となる重傷を負い、キャブズは次なる控えビッグマン選びに入った。ラリー・サンダースを2年ぶりにNBA復帰させるも、使えないと見るやすぐさま見切りをつけ、NBA傘下のディベロップメントリーグで頭角を現したエディ・タバレスを獲得。さらに昨シーズンの優勝メンバーでもあるダンテイ・ジョーンズを呼び戻し、プレーオフ・ロスターを完成させた。

今年の1回戦では、ブルズ、ヒートとの争いを制し東カンファレンス7位に滑り込んだペイサーズと対戦する。ヒート時代のレブロンに立ちはだかったポール・ジョージ、ランス・スティーブンソンを擁するペイサーズは決して楽な相手ではない。油断すれば一気にシリーズの流れを奪われてしまう相手だ。

強豪との対決を前日に控え、レブロンは、NBA全方位に『真剣モード』に切り替えたことを警告。SNS上で自身を獅子に見立てた画像に「ゼロ・ダーク・サーティ23、始動」というメッセージを付けて投稿した。

『ゼロ・ダーク・サーティ』とは、ウサマ・ビン・ラディンの捕獲ミッションに臨んだ米国特殊部隊を描いたサスペンス映画のタイトル。『23』はレブロンの背番号で、ヒート時代からプレーオフが始まる前に用いる表現として知られている。

レギュラーシーズン終盤には不甲斐ない姿を見せたキャブズだが、『勝ちを知るチーム』としてプレーオフでは気を引き締め、全く別の姿を見せるのだろう。その断片を示した試合が、4月5日に敵地で行なわれたセルティックスとの東カンファレンス天王山だった。キャブズはレブロンを中心に圧倒的な力量を見せ付け、114-91でセルティックスを一蹴している。

ペイサーズとのシリーズは、4月15日に開幕する。『真剣モード』に切り替えたレブロンとともに、王者キャブズの2連覇に向けた戦いが始まる。