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プレーオフ1回戦でシーズンMVPを争う両雄が激突する

サンダーのラッセル・ウェストブルックは『史上2人目の平均トリプル・ダブル』に続き『年間トリプル・ダブル回数』での新記録を打ち立て、レギュラーシーズンMVPに大きく近付いた。『不滅の記録』と呼ばれたオスカー・ロバートソンの記録を超えた以上、これでウェストブルックがMVPを逃せばバックス指揮官ジェイソン・キッドのコメント通り『茶番』でしかなくなる。

だが、ここまでデッドヒートを繰り広げたロケッツのジェームズ・ハーデンはあきらめていない。この日、ハーデンもキングス戦で35得点11リバウンド15アシストと爆発し、今シーズン21回目のトリプル・ダブルを達成。チームを135-128での勝利に導いた。

試合後には当然のようにMVPレースについてのコメントを求められた。『Houston Chronicle』からチームの戦績がMVPを決める上で最も重要な要素になるかと思うかを聞かれたハーデンは「チームの戦績が最重要なファクターだ。この件について深く言うつもりはないけれど、そうあるべきだと思う」と答えている。

これまでの基準であれば、ハーデンの主張は間違いなく正しい。ハーデンは今シーズン78試合に出場し平均29.2得点、8.1リバウンド、11.2アシストを記録。54勝26敗のロケッツと、46勝34敗の6位サンダーでは実に8ゲームの差があり、西カンファレンス3位躍進の立役者となったハーデンが満場一致でMVPに選ばれただろう。

だが、55年ぶりの『史上2人目の平均トリプル・ダブル』、『年間トリプル・ダブル回数』のウェストブルックを無視するわけにはいかない。得点王争いも1位がウェストブルック(平均31.9得点)で2位がハーデン(同29.3)で、こちらもウェストブルックで間違いなさそうだ。

レギュラーシーズンMVPは史上初の『同時受賞』がベター

ハーデンは、チームの潜在能力を最大限に引き出しつつ個の力でも引っ張った。ウェストブルックは、圧倒的な存在感と史上最高クラスのオールラウンダーとして、シーズン開幕前の下馬評が低かったチームをプレーオフにまで導いた。

この2人の優劣を決める必要はもはやないと言っていい。いまこそNBAは史上初のシーズンMVP同時受賞を認めるべきだ。選手からすれば、個人に与えられる最高峰の栄誉を分け合うことに納得のいかない部分があるかもしれない。しかし、稀に見る大激戦となった2017年のMVPレースが同時受賞で終わったとしても、ハーデンとウェストブルックの価値を損なうものではないはずだ。

ちなみに、この両者の優劣は投票権を持つ記者が頭を悩ませることもなく、直接対決で決まる。そう、ロケッツの3位とサンダーの6位はすでに確定しており、西のプレーオフ1回戦で両者は激突するのだ。レギュラーシーズンMVPは同時受賞、そしてプレーオフで雌雄を決する。この形が一番分かりやすく、誰にとっても納得のいくものとなる。