アグレッシブなディフェンスで流れをつかんだ名古屋Dが京都に連勝

12月1日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズvs京都ハンナリーズの第2戦が開催された。第1戦は後半に追い上げを受けるも逃げ切って勝利。第2戦も同様に京都の反撃を受けたが、序盤から一度もリードを許すことなく88-80で勝利した。

試合の出だしから、フルコートで激しくディフェンスを仕掛けた名古屋Dは京都から第1クォーターだけで8本のターンオーバーを誘発することに成功。相手のミスを着実に得点に繋げて29得点を挙げた。第2クォーターは京都の岡田侑大のプレーメークに苦しむ時間帯もあり、47-44と迫られて試合を折り返す。第3クォーターも前線からの激しいディフェンスを継続し、京都から6本のターンオーバーを奪った名古屋Dは3ポイントシュートも高確率で成功させリードを広げる。最終クォーターは流れを渡す時間帯もあったが、常にリードを保つ盤石の試合運びで連勝を飾った。

試合後、名古屋Dのショーン・デニスヘッドコーチは試合の入りがポイントだったと話す。「出だしからしっかりプレーすることが重要だと思っていたので、それが今日もできました。外国籍が1人いない中で、タレント揃いでしっかりコーチングされた京都さんに連勝できたのはうれしいことです」

デニスヘッドコーチが話す通り、名古屋Dはインサイドの一角であるルーク・メイを脳震盪で欠く状況で今節に臨まなければならなかった。それだけにチャールズ・ジャクソンとアンジェロ・カロイアロ、ジョーダン・ヒースといったBリーグで十分に実績を持つ外国籍選手を擁する京都との対戦は容易なものではなかった。そんな中、存在感を示したのが張本天傑だった。デニスヘッドコーチも張本のパフォーマンスを高く評価する。「彼に求めているのは激しいディフェンスと、良いスクリーンをセットしてもらうことです。今節はそれができていました」

その言葉の通り、張本がコートに立っている時間帯の得失点差はチーム最多となる+24を記録。今シーズンは出場時間が10分に満たない試合も多い中で、第1戦は22分36秒、第2戦は18分37秒プレーしてチームを支えた。

張本は先発起用に応えるべく、強いメンタリティを持って試合に臨んだと話す。「今節はルークがいないこともあり、トーンセットが必要だったので、ディフェンスにフォーカスしていました。前から激しくディフェンスすることを最初からやって、流れを作ることが自分の仕事だと思って臨みました」

張本

「カロイアロを自由にプレーさせないため、時間をかけて研究した」

デニスヘッドコーチや張本が話すように、序盤のフルコートディフェンスが勝利の鍵を握っていた。試合の入りの重要性をバイウィーク中に再確認してきたと張本は続ける。

「ここまで思ったように勝てていなかったので、自分たちのやるべきことを見つめ直しました。負ける時は出だしが悪く、そこからズルズルといってしまうことが多く、結果的に自分たちらしいバスケットができなかったです。昨日も前半は自分たちらしいバスケットができましたが、後半はゾーンに飲まれてしまった感じがありました。その反省を生かして今日は後半も前から当たっていこうと話しました」

前日の第1戦は前半に13点のリードを奪ったが、後半だけで11本のターンオーバーを犯し、追い上げを許した。この日は試合を通じてターンオーバーを7本に抑えることができた。この要因もオフェンスだけではなく、ディフェンスにあると張本は言う。「攻めるディフェンスができた結果、オフェンスも良くなりました。ディフェンスの時も攻めるメンタルを持つことが重要だと思います」

オールコートでは選手が連動して守り、ハーフコートではゾーンを敷くことも多い名古屋Dにとってチームディフェンスは勝敗を左右する鍵となる。ただし、チームディフェンスは個々のディフェンス強度の上で成り立つものだ。そしてマンツーマンのシチュエーションにおいても張本は存在感を示した。外国籍選手とマッチアップした際に日本人選手は簡単にやられてしまったり、ファウルをしてしまう場面は多く見られるが、張本は簡単にやられることはなかった。

リーグの中でもトップクラスのスコアラーであるカロイアロとマッチアップする時間が多かったが、1on1のシチュエーションでタフショットを打たせるなど、見事なディフェンスを見せた。十分な準備をしてマッチアップしたと張本は明かす。「時間をかけて彼を研究しました。彼にやられないことが、自分の仕事だと思っていたので、簡単にプレーさせないという気持ちで試合に臨みました」

12月は水曜ゲームや天皇杯もあり、怒涛のスケジュールとなる。名古屋Dも天皇杯を勝ち進んでいるため、中2日でアルバルク東京との試合が待っている。「天皇杯はいつもここで(3次ラウンド)敗退してしまうパターンが多いです。A東京さんとは相性は良いので、ディフェンスをしっかりやって速い展開に持ち込めれば、自分たちのペースになります」と張本は展望を語る。

過密日程だからこそ、主力選手だけでなくベンチ全体の力が試されるだろう。名古屋Dにとって張本のような自分の仕事を遂行してくれる選手がいることは大きい。想定外に戦績が伴わない序盤戦となったが、ここからの巻き返しに大きな期待が寄せられる。