ザック・バランスキー

文=鈴木栄一 写真=古後登志夫、鈴木栄一

リーグ随一のタレント集団においても際立つ安定感

アルバルク東京は、4月10日のサンロッカーズ渋谷に81-73で勝利した。この試合、ザック・バランスキーは前半だけで14得点をマークする活躍。21点の大量リードで試合を折り返し、そのまま逃げ切る原動力となった。

バランスキーは「前半は良かったですが、後半は相手にいいようにやられました。自分たちで立て直して勝てたのは良かったですが、前半みたいなプレーを40分間、続けていかないといけない」と反省を口にする。

18得点5リバウンド2スティールと攻守で活躍した自身のプレーにも「前半はたまたま自分が空いていて、そこで簡単に点を取らせてもらいました。ウチには『俺が20点取る』というエゴを持った選手がいません。その時に調子が良い選手がチームプレーで取った得点だと思います」と謙虚な姿勢を崩さなかった。

ザック・バランスキー

「千葉戦もいつも通り、60試合の中の一つ」

現状、A東京はワイルドカード上位となる第7シードでのチャンピオンシップ出場がほぼ確定しており、今日と明日に行われる千葉ジェッツとの強豪対決はシード順に影響を与えるものではない。だが、ここで難敵相手に勝つことはチームに大きな勢いを与える付加価値がある。

いつも以上に気合が入りそうなものだが、バランスキーは「僕は基本、どんな相手、どの展開でもいつも通りのプレーをするだけです。千葉戦もいつも通りの試合。60試合の中の一つとして臨みます」と淡々としている。

冷静であっても、気合が入っていないわけではない。「千葉が全体1位で、天皇杯に優勝しているからといって、何か特別なことをするわけではない。いつも通り、自分たちのやるべきことを信じてやれば自然と結果はついてきます」と、チーム力に確固たる自信を持っているからだ。

「勝たなければいけないと試合前から思ったところで、自分に変なプレッシャーをかけてしまいます。試合は自然とやって来るので、余計なことは考えないです」と、平常心で臨む。

ザック・バランスキー

「僕が入ったら流れが落ち着くと言われる選手に」

リーグ随一の選手層を誇り、膠着状態を個で打開できる能力を持った選手を複数擁するA東京であっても、得点が止まる時間帯はある。そういう時は慎重になりすぎて、シュートを打つべきタイミングで躊躇してしまうような状況に陥りがちだ。

ただ、バランスキーはどんな状況でも打つべき時にタイミング良くシュートを打つ貴重な存在。「自分のやるべきことは分かっているので、それを全力でやるだけです。シュートは打てば入るという気持ちでやっている。ディフェンス、リバウンドが自分の強みですし、チームで一番安定した活躍をして、僕が入ったら流れが落ち着くと言われる選手になりたいです」と語るが、現時点でもタレント集団にあってその安定感は際立っている。

「唯一、言えるとしたらあと1カ月でリーグが終わるということくらいで、まだ、プレーオフについてもあまり考えていない」とバランスキーは言う。このどんな時でも自然体で安定感のあるバランスキーは、緊張度の高まる大一番においてより存在感が高まってくるはずだ。