田渡凌

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

課題の守備を改善できず、遠い1勝

横浜ビー・コルセアーズはシーホース三河に80-88で敗れたことで、今シーズン最長の連敗数を更新する9連敗中と、終盤に来て失速している。

横浜の課題は平均84失点(リーグワースト)のディフェンスにある。昨日の試合でも、平均を上回る88失点と、ディフェンスが機能しなかった。指揮官のトーマス・ウィスマンは前半戦からディフェンスの課題を指摘していた。「私はディフェンシブなコーチとして知られているが、思い描いているディフェンスのチームにさせられていないので悔しい。解決策は自分の中でも見つかっていないので、探し続けるしかない」と、正直な思いを語る。

ディフェンスが改善しないのであれば、オフェンスで上回るしかない。田渡凌も「もちろん最大限やるんですけど、点を取られるのは分かっているので」と割り切り、オフェンス面に目を向ける必要があると言う。

「その中でいかに確率良くシュートを決められるか、ミスをしないかが大事になってくる。あとは相手のシュートを1本で終わらせるとか。でも、今日は僕を含めてシュートを外しすぎたのが負けた理由になりました」

8得点4アシストとまずまずのスタッツを残した田渡だが、フィールドゴール成功率は12本中4本の成功(33.3%)と低調だった。残り1分6秒には、5点差に詰め寄るミドルシュートを沈めたが、直後の残り34秒に放ったシュートはリングに弾かれた。決まれば1ポゼッション差となるシーンだっただけに、会場からはため息が漏れ、田渡も肩を落とした。そして、結果的にそのシュートが試合の勝敗を分けた。

田渡凌

「チャレンジしないでやられるのは、許せないこと」

シュートの成否によってメンタルが左右されることは良くないことだが、それほど欲しい1勝だったことの裏返しでもある。そんな勝利への執念が見えたシーンは他にもあり、シュートを決めた直後のディフェンスの場面で、チームメートを鼓舞したシーンは特に印象的だった。

田渡は、そうした行動を起こす理由をこのように語る。「僕らはディフェンス力がないのに、それで士気がない姿勢だったり、準備をしてなかったり、外国籍選手もタラタラ戻ったり、そういうのが多すぎるので、僕はできるだけ声に出そうとしてます。チャレンジしないでやられるのは、許せないことだと思うので」

あふれる勝利への思いと勝てないフラストレーションが混在する。「緩んでたり、疲れたら頭を下げて戻るとか、頑張る以前の問題が多い。ここ1本止めなきゃいけないって時に、そんなチンタラ戻るなって思いますし、それでやられてしまうこともたくさんあるので、それって誰かが言って気付くことだと思います。サボってる人って、自分がサボってることを分かっているので。試合中の危機感を皆で持たないといけないです」

田渡凌

残留プレーオフでの勝負強さ「良いことではない」

横浜は現在リーグ16位。残り試合が少ない中、残留プレーオフ回避が難しくなりつつある。もし残留プレーオフに回ることになっても、勝ち抜けばB2行きは免れる。過去2シーズン、横浜はそこで無類の勝負強さを見せ、B1に残留してきた。だが、その『崖っぷちに強い』イメージについて田渡は「良いことではないですし、何の自信にもならない」と、チームに警鐘を鳴らす。

「残留プレーオフで2年連続勝っているからって、安心にもならないです。行かないのが一番良いので、そう思っていると僕らは負けると思う。目の前の1試合1試合を最後だと思って戦わないといけないし、そういう気持ちで全員が戦わないといけない」

泣いても笑っても、残り4試合でレギュラーシーズンが終わる。横浜がB1に残留できるかどうかは、チームの意識を変えようともがく、田渡にかかっている。