その瞬間瞬間で何ができるかを判断してチームを支える
アメリカ代表でジェイソン・テイタムが『干された』ことは大きな議論を呼んだ。しかし、その逆はあまり話題にならない。そう、デリック・ホワイトは代表チームのトレーニングキャンプが始まった後、カワイ・レナードの離脱を受けて追加招集された選手だ。カワイとはプレースタイルが異なり、彼はあくまで『脇役』としてオリンピックを過ごすものだと思われた。
その結果は……確かに『脇役』だったが、その能力は頼りにされ、尊重された。決勝のフランス戦だけは出番がなかったが、残る5試合に出場し、テイタムより8分長い計79分間コートに立った。
「僕は遅れてチームに加わったから、みんなに追い付くことだけを考えた。何を期待すればいいのか分からなかったけど、ただワクワクして、自分にできることはすべてやろうと考えていた」とホワイトは言う。
そこに葛藤はなかった。「他の選手と比べて、NBAでのプレーや役割を変える必要がないと思っていた。準備期間がないから、自分にできることでチームの勝利に貢献すればいいと思っていたんだ」
そして彼は、いつもNBAでやっているようにディフェンスで奮闘し、攻守のバランスを見ながら、その瞬間瞬間で自分に何ができるかを判断してチームを支えた。NBAのプレーオフでそうだったように、歯が欠けるまでハッスルする必要はなかったが、必要な場面があれば彼は躊躇なくダイブしただろう。
「全くいつも通り。父からバスケを教わるようになった4歳の時から変わらず、チームのために自分にできることをしただけだ。NBAと国際大会は同じバスケでも様々なことが異なる。そこだけは気を配っていたけどね」
そしていつも通り、彼のいるチームが勝った。NBAのタイトルに続いて、オリンピックで金メダルを獲得。デリック・ホワイトはスタープレーヤーではないかもしれないが、『勝ち運』を持っているのは間違いない。