八村塁

文=鈴木栄一 写真=Getty Images

八村は21得点8リバウンドと『エースの働き』

現地3月21日、アメリカ大学バスケのNo.1を決めるNCAAトーナメントが開幕した。八村塁が在籍する第1シードのゴンザガ大はトーナメント初戦で第16シードのフェアレイ・ディッキンソン大(FDU)と対戦。序盤から攻守で力の差を見せつけ、87-49と圧勝した。

試合序盤からゴンザガは八村を軸にゴール下から積極的にアタック。八村がシュートを外すも、オフェンスリバウンドを取ってフリースローを得るなど、リバウンド争いで優位に立つ。また、守っては1対1でしっかりと抑え、タフショットを打たせ続けることで試合開始から約6分半に渡ってFDUにフィールドゴールを決めさせない。

このように攻守とも申し分のないスタートを切ることで、ゴンザガは開始約10分で26-6と大きく突き放す。また、これだけの大量リードを奪ってもゴンザガはどの選手も集中力を切らさず、FDUに付け入る隙を与えない。

17点をリードした残り4分半から怒涛の19連続得点のビッグランを繰り出し、前半で53-17と圧倒した。後半に入ってもゴンザガは試合の主導権を握り続け、楽々と逃げ切った。ちなみに同校にとって38点差は、NCAAトーナメントにおける最大得点差での勝利となる。

八村は一方的な試合展開もあって25分の出場に留まった中で、ゴール下や速攻でのフィッシャーとしてチームトップの21得点に8リバウンドと、エースの役割をしっかり果たしている。

また、ゴンザガにとって明るい材料はビッグマンのキリアン・ティリーがフィールドゴール8本中7本成功の17得点4アシストと活躍したこと。3年生のティリーは、1年生の頃からローテーション入りし、昨シーズンは平均12.9得点、5.9リバウンドと八村を上回る数字を残していた。しかし、今シーズンはケガに苦しみ、ようやく1月に初出場を果たすも2月上旬に再びケガで離脱。3月中旬のカンファレンストーナメントで復帰したばかりだった。208cmのサイズと外角シュートを武器とする多彩なオフェンス力は、チームの大きな助けになる。

また、インサイドはともに203cmの八村とブランドン・クラークが中心となっているゴンザガにとって、サイズ面においてもこれから激戦のトーナメントを勝ち進んでいく上でティリーがどこまで復調できるかは重要となってきそうだ。