平良宗龍

「能代カップでも負けて2敗している相手」にリベンジ

開志国際vs日本航空は、昨年の北海道インターハイ準決勝と同じカード。この時は日本航空が61-62で迎えた最終クォーターを27-14と圧倒して勝ち切り、決勝で東山を破って初の全国制覇を成し遂げている。

その組み合わせが福岡インターハイの3回戦で実現した。去年の対戦で21得点29リバウンド6ブロックと圧巻のパフォーマンスを見せたオルワペルミ・ジェラマイア、19得点を挙げた大道一歩と主力が3年生になって日本航空に残っており、開志国際も平良宗龍にネブフィ・ケルビン・シェミリーなど去年から引き続き主力を務める選手が多い。日本航空はそうでなくても、敗れた開志国際にとって『リベンジマッチ』の特別な一戦なのは当然だった。

それを最初に体現したのは富樫英樹ヘッドコーチだ。サイドラインぎりぎりに立って大きな身振り手振りで選手と一緒に戦うのはいつものスタイルだが、今日は普段以上に気迫が表に出ていた。「まだ3回戦なんですけど、やっぱり自然に出てしまいました(笑)」と富樫コーチは話すが、「選手たちがはじめから3冠と言っているので、このインターハイも取りにいきます」と全国制覇に強い意欲を燃やしている。

指揮官の気迫が選手たちにも乗り移り、開志国際は序盤から攻守に隙がなく、アグレッシブかつ強度の高いプレーで日本航空を圧倒する。2度のオフェンスリバウンド奪取からケルビンがチームに初得点をもたらし、千保銀河がキレのあるドライブからフローターを沈めると、ジェラマイアをドライブでかわしたケルビンがワンハンドダンクを叩き込む。そしてアーリーオフェンスから右コーナーで構えた平良の3ポイントシュートが決まる。ジェラマイアに強引にインサイドを割られて失点するが、次の瞬間には速攻に走った平良がレイアップに持ち込んでいた。

それぞれが高い身体能力とスキルを持ち、その個性をチームで引き出す強さをはっきした開志国際が、前半を終えて51-24と大量リードを奪う。ケルビンにファウルトラブルがあって後半はやや勢いを失ったものの、それでも危なげない試合運びで83-65の快勝を収めた。

開志国際

「自分たちのプレースタイルを貫き通すことができた」

エースの平良は29得点5リバウンド4アシスト2スティール2ブロックと大活躍。「最初からディフェンスからの速攻という自分たちのプレースタイルを貫き通すことができました。自分たちのやりたいプレーがしっかりできたことで大量得点に繋がったと思います」と手応えを語る。

日本航空は「能代カップでも負けて2敗している相手」であり、「ここで勝ちきろうと強い気持ちで臨みました。相手のリバウンドをしっかり封じ込めて、自分たちのディフェンスができたのは成長だと思います」と、平良はリベンジ成功を喜ぶ。

自分自身のプレーについては「チームの点数が入らなくなった時にやるのが自分の仕事。その役割はしっかり果たせました」と手応え十分。7本中5本を成功させた3ポイントシュートは「かなりタッチが良くなってきました。あとはジャンパーですが今日1本入ったので、そこも3ポイントシュートだけでなくいろんなプレーができたらいいなと思います」と、さらにギアを上げていくつもりだ。

ただし、リベンジマッチに快勝を収めても気を緩めることはない。「去年はインターハイもウインターカップも大事なところで負けてしまって、それで気を緩めないことができるようになったんじゃないかと思います」と語る。

3冠の最初となるインターハイはあと3試合。頂点に立つまで、平良は開志国際のオフェンスを引っ張り続けるつもりだ。