文、写真=丸山素行

アルバルク東京は30勝9敗で東地区首位の栃木ブレックスを1ゲーム差で追っている。『歴史的開幕戦』から着実に白星を重ねつつ、チームの成熟度を上げていたが、1月末にトロイ・ギレンウォーターの契約を解除。さらには『第三の男』だったアンドリュー・ネイミックとの契約も解除し、外国籍選手がディアンテ・ギャレットのみという状況でしばらく戦ってきた。 そんなチームにやって来たのがジェフ・エアーズとトレント・プレイステッドだ。2人とも2月25日の滋賀レイクスターズ戦でデビューを果たしている。

エアーズ「まず慣れることが優先、これはギブ&テイク」

ジェフ・エアーズは209cmのパワーフォワードだが、滋賀との第2戦で2本の3ポイントシュートを決めたことからも分かるとおり、アウトサイドでのプレーもこなす。「インサイドもアウトサイドも得意だ。インサイドを起点にして攻撃をして、試合の流れによって外に出るので、やはりインサイドを中心にやっていきたい」

自分の長所を理解していて、相手によってプレースタイルを変えるとクレバーさが垣間見える。「対戦相手によって、相手のディフェンスのセンターが自分より身長が低ければ中で攻めたり、遅ければ外に引っ張り出してドライブを仕掛けようと思う」

そんなエアーズのストロングポイントは走力だ。アウトサイドからシュートが得意だとしても、それは外に出てのプレーを可能とする走力があってこそ。「ビッグマンとしては走力に自信がある。相手のビッグマンが遅ければどんどん走ってやる」とエアーズは言う。

エアーズはNBAで250試合に出場した実績の持ち主。ただ、シーズン途中に元NBAプレーヤーを獲得した他のチームでは、順応に手間取っているうちに成績を落とすケースが相次いでいる。コミュニケーション能力の高さを自負するエアーズはこう言う。「オープンな態度でコミュニケーションを取り、まず慣れることが優先。チームメートも自分たちに慣れてくれるはずで、これはギブ&テイクだ。その中でいかに早くアジャストするかがカギになる」

NBAでの経験の中でも突出しているのが2014年、スパーズでのNBA優勝だ。「スパーズで優勝した時は毎回決まったプレーをするのではなく、第6感というかお互いの長所と短所を知ることによってプレーをしていた。それを一日も早くアルバルクでやってコート上で表現していきたい」と、この得がたい経験をA東京に還元することを抱負として語った。

プレイステッド「いつも自分で自分に発破を掛ける」

トレント・プレイステッドは211cmのセンター。献身的にチームを支えるタイプの選手で、「必要なことなら何でもやるし、ヘッドコーチが求めるプレーを体現したい」と語る。

契約から来日、デビューと立て続けの出来事で、コンディションは「7割から8割くらい」と万全ではないが、それでも持ち味のリバウンドとディフェンスを生かしてチームに貢献したいと『for the team』の精神を語った。

ここまで首位争いを演じるA東京は、勝利を義務付けられたクラブ。その重圧についてプレイステッドは「そこまで感じていない」と否定するも、「いつも自分で自分に発破を掛けている。自分を奮い立たせるプレッシャーは常に持っている」と語った。

プレイステッドはこれまでに10カ国でプレーし、その中でも組織的なプレーが求められるドイツとクロアチアのバスケットがフィットしたと語る。組織的なプレーが多い日本のバスケットにも順応できるのではないかと自信を見せた。

A東京に入団を決めた理由を『直感的に』と答えたが、「奥さんの許可がないと何もできず、日本であればOKだとハンコをもらった」という奥さんの尻に敷かれているエピソードで笑いを誘った。

2人に共通するのは日本人の親切さや温かさに感動していること。また、2メートルを越える背の高い選手の宿命だが頭を何度もぶつけて困ったと話す。日本食には積極的にトライし、気に入っているようだ。

明後日に迫った栃木との首位攻防戦、「前回のリベンジを含め、常にベストなプレーをし2つ勝ってホームを守りたい」と2人は意気込みを語った。

エアーズとプレイステッドを獲得し、足りなかったピースが揃ったA東京。Bリーグ初代王者を目指す戦いは第2章へと突入した。