マイク・ブラウン

「トレーニングキャンプが楽しみでたまらない」

マイク・ブラウンはキングスと新たに3年契約を結び、引き続きチームを率いることになった。2022年オフ、アシスタントコーチとしてウォリアーズのNBA優勝に貢献したブラウンはキングスのヘッドコーチに招聘された。ウォリアーズの速いテンポで3ポイントシュートを多用するバスケをベースとしながらも、ディアロン・フォックスやドマンタス・サボニスの個性を上手く引き出し、キーガン・マレーのような若手も育ててキングスを急成長させた。

1年目の2022-23シーズンにキングスを17年ぶりのプレーオフに導き、NBA最優秀コーチにも選ばれた。2年目はプレーイン・トーナメントで敗れたものの、主力にケガ人が相次いだ影響が大きかった。キングスが提示する年俸700万ドル(約11億円)とブラウンが要求する年俸1000万ドル(約15億円)の隔たりが大きく、契約交渉がまとまらないままオフを迎えて周囲を不安にさせたものの、最終的には年俸850万ドル(約13億円)、ボーナス次第では年俸1000万ドルとなる3年契約を結んだ。

続投が決まってサクラメントに戻ったブラウンは、ほぼ要求通りの契約を勝ち取って満面の笑みで「戻って来ることができて良かった」と語る。「交渉もさることながら、私はこの街とファンが大好きなんだ。ここのファンはバスケに精通していて、チームに真の情熱を持っている。だからこのチームで働くのは本当にエキサイティングなんだ」

キングス傘下のGリーグチームを率いていたリンジー・ハーディングは、盟友JJ・レディックの誘いを受けてレイカーズのアシスタントコーチになった。『現場のボス』であるブラウンの続投が決まったことで、ハーディングのようにキングスを離れたスタッフの後任探しが始まる。「もう何人かと面談しているが、その人たちが優秀だと確信してはいても、これまで一緒に働いてきた仲間が去るのはつらい。優秀なスタッフを失うのは悪夢だ」とブラウンは言う。同時にスタッフの『出世』を心から喜んでもいる。

「悪夢ではあれ、良い夢を語りたい。リンジーが素晴らしいチャンスに巡り合えて本当に良かった。私もかつてはインターンからこの世界に入り、ビデオコーディネーター、育成コーチ、アシスタントコーチと段階を踏む中で、少しでも良いチャンスを得たいと必死だった。だから私はうれしい。リンジーがレイカーズに多大な貢献をして、キングスにとって悩ましい状況を作り出すとしてもね(笑)」

キングスは今オフにデマー・デローザンを獲得した。そして移籍が濃厚と見られたマリーク・モンクがチーム愛を優先して残留を決めた。戦力アップで結果を求められるプレッシャーはあるが、ブラウンはそれを楽しみにしている。

「デローザンのプレーが楽しみだよ。彼はここ数年、プレースタイルを少しずつ変化させて成長してきている。以前と変わらぬデローザンを演じるか、それともプレーメークに比重を置いたり、別の何かをやるようになるか。我々のバスケはとにかく速い。リズムを合わせるのに少し時間が必要かもしれないが、キングスのスタイルは彼の能力を引き出すと思う。マリークについても、その決断を称賛したい。私のコーチキャリアにおいてユニークなのは、マヌ・ジノビリとアンドレ・イグダーラという最高の選手をベンチから起用してきたことだ。このリーグで勝つために不可欠なその役割をマリークに託している」

やる気がみなぎるブラウンは、次の言葉で会見を締めた。「トレーニングキャンプで何が見られるのか、楽しみでたまらないよ!」