五十嵐圭

文・写真=鈴木栄一

33分のプレータイムで15得点、見事な司令塔ぶりを披露

3月16日、新潟アルビレックスBBと川崎ブレイブサンダースとの中地区首位決戦、その1戦目は新潟が一度もリードを許すことのなく85-74で快勝した。それでも試合開始直後に、司令塔にしてチームリーダー五十嵐圭がひざを痛めて途中退場するまさかのアクシデント。しかし、第2クォーター開始とともにコートへ戻ると、そこから勝利が確定した終了間際にベンチに下がるまでプレーを続け、33分出場。要所でシュートを決めての15得点と、38歳にして日本人トップの出場時間を誇る鉄人ぶりをビッグゲームでも示した。

「試合の入り方がすごく良かったです。チームとしてパスを散らしながら一つのサイドだけでなくコート全体を使うことができました」

このように五十嵐は、70%を超える高確率で2点シュートを沈めるなど好調だったオフェンスを振り返る。さらに川崎がニック・ファジーカスと外国籍選手2人を同時起用する実質オン・ザ・コート3を多く使う中で74点と抑えたディフェンスも、個々がしっかり役割を果たしたと言う。

「辻(直人)のところは(柏木)真介がしっかり守ってくれました。彼は川崎の中心選手ですので、2点に抑えたのはすごく大きかったです。また、オン3で外国籍選手とのマッチアップで(上江田)勇樹、池田(雄一)に(渡辺)竜之佑と身体を張って守ってくれました。チームとしても特にラモント(ハミルトン)がリバウンドを取ってくれました」

そして計4本の3ポイントシュートを沈めた自身のプレーには「インサイドでダバンテがいつも通り仕事をして、アウトサイドのパスを出してくれていたので思いっきり狙った」と語る。

五十嵐圭

「自分たちのプレーが出せれば勝てる」という自信

新潟は先週末のサンロッカーズ渋谷戦に連敗。それでも水曜日の富山グラウジーズ戦に75-50と快勝したのに続き、今回の勝利としっかりと立て直した。これは特に守備に対する意識の変化が大きいと五十嵐は考える。

「点が取れなくても守備で頑張ることが鍵となります。渋谷戦はそれができず、攻守ともちぐはぐな展開になってしまいました。水曜日の富山戦で修正して、継続してやることができた。特に第2クォーターに追いつかれた時、そこで我慢してリードで終えられたのが大きかったです」

ディフェンスが崩れなかったことで、「こちらのペースでうまくコントロールしながら試合を運ぶことができました。途中、6点差など点差を詰められてもみんな落ち着いていたと思います」と終始、試合の主導権を維持できることにも繋がったのだ。

SR渋谷戦での連敗は痛かったが、「良い薬になりました」と五十嵐が語るように失敗を糧にできたことが今回の地区首位対決の勝利を生み出した。「相手に関係なくとにかく自分たちのプレーが出せれば勝てる。そういう自信が少しずつですが、ついてきています」と、チームの成長にも手応えを感じている。この自信をより確固たるものとし、地区優勝へ大きく前進するためにも本日の試合で同一カード連勝を成し遂げたい。