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「僕はポートランドのために時間と労力をつぎ込んでいる」

あらゆる噂が飛び交った結果、2017年のNBAトレード期限2月23日までにリーグ全体に影響を与える大型トレードは成立しなかった。

今年はキングスが『チームの顔』だったデマーカス・カズンズをペリカンズにトレードし、アンソニー・デイビスとのツインタワーが誕生する大型トレードが実現。そのほかブルズのジミー・バトラー、ペイサーズのポール・ジョージにも移籍の可能性が取り沙汰されていたが、何事もなく終わっている。

NBAでは、スター選手がトレードの対象になるのは日常茶飯事。それぞれのチームの規模と思惑、サラリーキャップなどの関係上、多くの見返りを得られるとなれば、フランチャイズプレーヤーを放出するケースも出てくる。

ただ、選手からすれば、自分の名前が放出候補リストに載っていると報じられれば複雑な気持ちになる。トレイルブレイザーズのエースであるデイミアン・リラードは、ブレイザーズ公式サイトに、次のように語っている。

「これはビジネス的な側面があることだから、どうなるかなんて誰にも分からない。デマーカス・カズンズだって、オールスターゲームに出場したのに、試合後にニューオーリンズへのトレードを聞かされた。サクラメントではいろいろとあったのだろうけれど、彼ほどの選手が今回のような形でトレードされるなんて。何が起こるかなんて誰にも分からないさ」

前半戦を終えて平均25.7得点、5.8アシストを記録するリラード。名実ともにブレイザーズを牽引するリーダーだ。

契約社会において『ウェット』な感情を垣間見せたリラード

リラードもトレードをNBAの一部として理解はしている。だが、放出候補という噂を立てられ、気分を害した一人だ。

「自分がトレード要員になっているという記事を見た。驚いたけれど、これはビジネス。リーグ全体が揺れるような出来事を、ファンやメディアは好むからね。噂だけならまだしも、もし本当のことだったら、がっかりするよ。だって自分はポートランドのために尽くしているんだから。自分はこのチームにいたい。球団の歴史を振り返っても、なかなか大物を勧誘するのは難しいかもしれない。でも僕はまだ26歳で、ポートランドのために時間と労力をつぎ込んでいる。自分がトレードされるなんて納得できないよ」

カズンズの例が示すとおり、フランチャイズプレーヤーであっても突然にトレードを通告されることはあり得る。バスケットボールに限らず『ウェット』な日本に比べればアメリカは『ドライ』で、感情よりもビジネス、関係性よりも契約が優先され、大型トレードが実現しやすい。

今のブレイザーズの状況を見る限り、リラードがトレードされる可能性は限りなく低い。ただ、このままチームに貢献し続けていたとしても、ビジネス的にメリットが発生するとなれば、クラブがトレードに応じることもあり得る。今のNBAに『アンタッチャブル』は存在しないのだ。

ただ、選手とて感情を持った人間であることをリラードは示した。「自分はこのチームにいたい」とリラードは率直な感情を言葉にし、ブレイザーズはそれをクラブ公式サイトに掲載した。少なくとも今の時点では、両者の関係は『極めて良好』である。