攻守に大活躍にも「今日は何度かツキに恵まれた」
NBAファイナルの初戦、ジェイレン・ブラウンは37分のプレーで22得点6リバウンド2アシスト3スティール3ブロックを記録した。攻守いずれもレベルの高いパフォーマンスを続け、大事な局面で試合を決定付けるようなビッグプレーを再三見せた。
セルティックスがマーベリックスを圧倒して107-89の完勝を収めた後、ヘッドコーチのジョー・マズーラは「今日のプレーは、彼が今年に入ってから自らに課した課題を体現したものだった」と語った。「普通は相手のランを許すと攻撃が停滞し、そこからディフェンスも悪い流れに陥ってしまうものだが、今日の我々のディフェンスはそうならなかった。ディフェンスの意識は本当に大事で、そこでジェイレンが見せたプレーは重要だった」
それは第3クォーターに見られた。前半は良いところがまるでなかったマーベリックスがハーフタイムに気持ちを切り替え、後半開始からの7分半で22-9のランを見せ、点差を21点から8点まで詰めた。だが、セルティックスはそこで崩れず、第3クォーター終了時点で再び20点差を付ける。この時間帯、セルティックスはチーム全体が一丸となって攻守に良いプレーを見せたが、ブラウンは攻守のギアを一段階上げてチームを引っ張っていた。
しかし、そのブラウンに達成感はなかった。クリスタプス・ポルジンギスは復帰戦での活躍に上機嫌だったし、ジェイソン・テイタムは自分たちの戦いぶりを誇らし気に語ったが、試合後の会見でのブラウンは無表情で下を向き、先ほどまで素晴らしいプレーをして大事な勝利を収めたとは思えなかった。「プレーを楽しめているか?」との質問に、彼は首を小さく振りながら「もっと良い仕事をしなきゃいけない。今日の僕は何度かツキに恵まれた」と答えている。
ボストンファンの『宿敵』であるカイリー・アービングを攻守に叩きのめしたことに対するコメントを求められても「それが僕にとって何だと言うんだ? 僕はチームに勢いを与えるためにプレーした。ディフェンスは僕らが頑張るべき部分だ」と言うに留めた。
それでも、第3クォーターにマブスの勢いを打ち消し、流れを自分たちに取り戻したことには手応えを感じていた。「8点差まで詰められた時が勝負だった。そこでチームとして良い反応ができた。堅実で落ち着いたプレーを続けたことが、リードを取り戻すきっかけとなった。オフェンスではチームでスペースを上手く使って僕はコーナースリーを打てたし、ペイントを攻めてフリースローから勢いを取り戻すこともできた。賢いバスケを続け、良い雰囲気を保てたと思う」
ブラウンはチームの勝利にも自分の活躍にも言葉少なだったが、仲間の活躍は素直に喜んだ。NBAファイナルでの復帰を目標にリハビリを続けてきたポルジンギスがケガを乗り越えて活躍したことを「素晴らしかった。彼の活躍を僕以上に誇りに思い、興奮している人はいない」と語る。
「でも、もっと上を目指さなきゃいけない。今日のことは忘れて、次の試合に向けた準備をする。マブスの選手たちはもう次の試合の準備を始めているだろうからね」