31勝29敗東地区4位、水野HC「チームを誇りに思う」
5月5日、群馬クレインサンダーズはホームに仙台89ERSを迎え、79-98で敗れ今シーズンの戦いを終えた。
前日の第1戦は第3クォーターまで我慢した展開から最終クォーターで爆発して勝利したものの、この試合では逆に第3クォーター中盤から失速して仙台に大量得点を許してしまった。ハードに守ってくる仙台に対して得点が止まる時間帯を多く作る、第1戦で3点に抑えた仙台のファストブレイクを27点許すなど、攻守に渡って敗因は明確だった。
水野宏太ヘッドコーチは悔しさをにじませながら試合を振り返った。「16個のターンオーバーをしたり、オフェンスの終わり方がよくなくて、それが相手の速攻につながる場面がありました。98失点したディフェンスだけでなく、オフェンスを良い形にできなかったことも失点に繋がったと思います」
群馬は31勝29敗の東地区4位という成績でシーズンを終えた。昨シーズンから2勝上乗せしてのシーズン勝ち越しを決めたが、チャンピオンシップとその先を目指していたチームとしては満足できる結果とはならなかった。シーズン序盤はトレイ・ジョーンズとベン・ベンティルのケガの影響で、勝率5割にも満たない時期もあった。しかし、1月末から破竹の9連勝を遂げて一躍チャンピオンシップ出場権争いに躍り出たものの、3月末にマイケル・パーカーとケーレブ・ターズースキーが負傷離脱し、再び勝ち星が伸び悩んだ。
重要な局面で外国籍選手と帰化選手が同時に2人離脱するという苦しいシーズンとなったものの、様々な戦術を講じ、それを遂行し、どうにか勝ち星をつかもうとする姿勢は見られた。水野ヘッドコーチはシーズンを次のように振り返った。
「いろいろな状況があった中でも、選手やスタッフがやり続け、戦い続けてくれて、後半戦はチャンピオンシップ争いをできるところまで来られました。成長すること、スタンダードを追い求めることを継続したチームを誇りに思っています」
「選手としてもチームとしても良い機会になった」
今シーズン、辻直人と共に新加入選手として注目されたコー・フリッピンも、「シーズンを通じてチームとして戦い抜くことができたのはよかったです」と、水野ヘッドコーチと同様にチーム力について言及した。
フリッピンは昨シーズン琉球ゴールデンキングスで年間チャンピオンに輝き、その以前には千葉ジェッツでもリーグ制覇を経験している。常に上位争いの中にいた彼は、この結果をどのようにとらえているのか。フリッピンは「バスケットボールはうまくいかないことがあるから面白いと思っています。毎試合勝てたらうれしいですが、そうじゃない部分も楽しんで自分たちはやってきました」と答えた。
「成功している時は、そこから学ぼうという姿勢が見られないことがあります。目標を達成できなかったときこそ、自分たちの経験から学ぶことがたくさんあります。この結果は選手としてもチームとしても、どうしていくべきか学ぶ良い機会になったと思います」
自身のプレーで評価できることについては「ボールをコントロールして、いろんなシチュエーションに絡んでいくことができた」とコメント。ドライブからのフィニッシュパターンが増えただけでなく、多くの場面でボールに絡む積極性が増し、個人のシーズン平均スタッツは得点、リバウンド、アシスト、スティールでキャリアハイを記録している。
そして、パスカットからのダンクが代名詞と言えるほど、スティールを連発したシーズンにもなった。この試合が終わった段階では確定していなかったものの、初のスティール王を目前に控えた心境を「個人タイトルの獲得は自分自身としてもクラブとしても初めて。うれしいです」と語り、後日、見事に受賞を果たした。
これまでもずば抜けた身体能力と愛くるしいキャラクターで人気を博していたフリッピンだが、群馬に来て『チームを勝たせる中心選手』という貫禄もついてきた。今シーズン、多くのブースターがフリッピンのプレーに熱狂したことは言うまでもない。
チームとしては望んだ結果通りにはいかなかったものの、フリッピンの言葉通り、ここから学ぶことは多くあるだろう。来シーズンの彼の飛躍に期待せざるを得ない。