カイル・ラウリー

写真=Getty Images

「いつか、家のデッキで一緒にレモネードでも飲むよ」

今でこそ名デュオとして知られ、親友関係にあるデマー・デローザンとカイル・ラウリーだが、ラウリーがラプターズでプレーし始めた2012-13シーズンからの2シーズン近くもの間、2人はほとんど会話すらしなかった。デローザンが久々にトロントでプレーした2月22日の試合後、当時について聞かれたラウリーは「なぜだろうね。分からないな。きっと、自分はアイツのことが好きじゃないんだろうね。それが理由じゃないかな」と、ジョークで切り返し、笑いを誘った。

ラウリーにとっては、理由など必要ないのだろう。「この世界で、ある人物と出会って、バスケットボールで結ばれた間柄なら、理由は要らないんじゃないかな。とにかく彼と出会ってしまったんだ。そういうことなんだよ。話をする、しないに関係なく、同じ世界を見ていられる間柄。家族ができて、子供が生まれる。そういう類のことさ。とにかく、強い絆が生まれるんだ」

デローザンが試合前日にトロントに到着後、2人は夕食に出かけた。

「彼に払ってもらったよ」と、ラウリーは笑いながら答えた。「今はアメリカドルの方が強いからね」

今でこそこうして冗談を交えて話せるようになったが、昨年の7月にラプターズがデローザンをスパーズにトレードした直後は、ラウリーの気持ちも複雑だったに違いない。それでも彼らは、プロとしてお互いの道を突き進み、それぞれのキャリアを送っている。試合後にコートでデローザンと何を話したかを聞かれたラウリーは「彼に対する愛情は変わらないし、親友。そういうことや、残り試合での幸運を祈っていると伝えた」と答えた。

この日は、試合前のウォームアップ、選手紹介、試合中にラプターズが会場内のビジョンに記念動画を映し出した時を含めて、会場中がデローザンに拍手を送り続けた。元相棒がここまでトロントで愛されている理由について、ラウリーは、「若い時分からこの街にいて、彼がホームタウンのように思っているからじゃないかな」と、分析する。

「この街に長く住んでいると、第二の故郷のように思えてくる。そういう彼の気持ちに、街も感謝しているんだ」

まだ先の話ではあるが、いつか彼らが一緒にプレーした時代を振り返る時が来るのだろう。ラウリーは「引退したら、自分たちがこの球団のためにやったことを思い返すだろうね」と言う。

「彼は生涯の友。いつかお互いに引退したら、家のデッキで一緒にレモネードでも飲むよ。そういう友人関係は、たまらないよね」