シェイ・ギルジャス・アレクサンダー

指揮官はプレーオフに「最高の自信を持って臨む」

サンダーはレギュラーシーズン最終戦でマーベリックスと対戦し、プレーオフに向けてルカ・ドンチッチとカイリー・アービングを含む主力の多くを休養させたマブスを圧倒して135-86の快勝を収めた。サンダーは前半終了時点で41点のリードを奪う余裕の展開で、主力のプレータイムを20分以下に抑えている。

これでサンダーはレギュラーシーズン82試合を終えて57勝を挙げ、同じ57勝で並んだナゲッツに直接対決で勝ち越していたことで西カンファレンスの第1シードを獲得した。これは2012-13シーズン以来の出来事。若きケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルックを擁した当時のチームは60勝を挙げたが、今の西カンファレンスの異常なまでのレベルの高さを考えると、今シーズンの57勝はそれ以上の『快挙』と言える。

勝利が決まる直前、ベンチに並ぶ主力たちは口に手を当てて『吠えて』いた。これは彼らがシーズンを通じて続けてきた、勝利を祝福する儀式だ。試合終了のブザーが鳴るとサンダーの選手たちは肩を抱き合って健闘を称え、そこにホームの大観衆が惜しみない拍手を送った。

ヘッドコーチのマーク・ダグノートは、静かな口調ではあったが自分たちの成し遂げたことの自信をこう語った。「選手たちは今日も真剣に試合に臨み、コートに立った選手全員が正しいプレーを心掛けてくれた。素晴らしいチームの勝利だった。このカンファレンス、このディビジョンを制するのは本当に難しかったが、それを達成する過程で選手たちは我々が理想とする姿を体現してくれた。1位になったことだけでなく、その方法も素晴らしかった。これを誇りに思いたい」

サンダーにとっては2019-20シーズン以来のプレーオフとなる。エースのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーでさえ、プレーオフの経験はルーキー時代のクリッパーズ、その翌年に移籍したサンダーでの1度ずつしかない。経験が大事とされるプレーオフでサンダーがどれだけ戦えるかは未知数とされるが、ダグノートは静かな笑みをたたえながらこう語る。

「明日の朝、プレーオフのために目覚めた時には0勝0敗で、ここまで我々が成し遂げたことがホームコートとシード権以外のプラスになるわけではない。しかし、我々は全員が力を合わせて素晴らしい習慣を築き上げてきた。歴史的にも稀なレベルの高さの西カンファレンスでプレーオフに進出した全チームに敬意は払うが、私は自分たちが団結して築いてきたものに自信がある。相手への敬意と自分たちへの自信を胸にプレーオフに臨むんだ」

サンダーが築いてきたもの。それは具体的には戦術的な引き出しの多さと選手層の厚さだ。シェイのアイソレーションで勝負することもできるし、チェット・ホルムグレンのポストアップも使える。パスで崩すこともできれば3ポイントシュートの爆発力もある。シーズン途中に加わったベテラン勢も、プレーオフで頼りになるはずだ。「どれだけ準備ができているかと問われれば、最高の自信を持っていると答えられる」とダグノートは言う。

MVP候補にもなっているシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは「僕たちがここまで来れた理由、それは常に謙虚さを失わず、努力を信じて気を抜かないことだ」と言う。「一日一日を大切にし、選手として、リーダーとして、良きチームメートとして、どうすれば成長できるかを考えてきた。そうやって積み重ねてきた結果として、僕たちがこの場所にいることを誇りに思う」

シェイの30.3得点に次ぐ19.2得点を記録している2年目のジェイレン・ウィリアムズは「すべては相対的なものだから『若すぎる』と言われるのは仕方ない」と言う。「でも、シーズンを通じて批判を覆してプレーしてきたし、僕らがどのチームとでも戦えるのは証明できたと思う。プレーオフでもそうする準備はできているよ」

順調に勝ち星を伸ばしても浮かれることなく戦い続けてきたが、この日ばかりは試合後のロッカールームはお祭り騒ぎだったようだ。ウィリアムズはこう語った。「シーズンは長いようであっという間で、その間にあった出来事は忘れてしまいがちだ。だから、シーズンの良いことも悪いことも振り返って楽しんだのさ。ここからまた勝つためのモードに切り替えて、新しいシーズンが始まるつもりで取り組む。だからこそ、長いシーズンの成功を振り返って楽しむお祝いが必要だったんだ」