サンロッカーズ渋谷

冷静な田中大貴「間が空いてしまうと、後半も20点を取ることは意外と難しいです」

4月6日に青山学院記念館で行われたサンロッカーズ渋谷と京都ハンナリーズの試合は、SR渋谷が最大13点差をひっくり返して91-83で逆転勝利し、連勝を4に伸ばした。

前半のうちに最大13点のリードを与えてしまったのは京都の岡田侑大の『爆発』があったから。第1クォーターの残り4分3秒の時点で17得点。3ポイントシュートを5本すべて決めるという、まさに『オンファイヤー』状態だった。無論、SR渋谷も彼を止めようと策を講じ続けたものの、「その修正に前半のすべてを使うことになってしまった」とルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは試合後に明かした。

もちろん、岡田だけを止めればいいというわけではなかった。インサイドではチャールズ・ジャクソンが抜群の仕事ぶりを見せ、前半のみで6リバウンドを記録するなど、SR渋谷はインサイドでもアウトサイドでも苦しい展開に持ち込まれた。7連敗中とは思えない見事な内容の京都を前に、39-50と2桁のビハインドを背負って前半を終えた。

ただ、その流れが後半に一変する。その立役者は田中大貴だ。ノリにノッていた岡田に対して非常にタイトなディフェンスを敢行。これにより、前半だけで23得点をマークしていた彼が、後半にスコアしたのはわずか5点のみ。「前半だけで止められてしまった」と岡田本人も述懐する。「ピック&ロールからスイッチして、そこから逆サイドに振っての3ポイントを全部決めていましたが、後半に関してはボールを持とうとしてもディナイのディフェンスが強くなるなど、『自分にやらせたくないというディフェンスに変わった』。予想はしていたけど、打開策がなかったのが痛かったです」

パヴィチェヴィッチヘッドコーチも「フィジカルな部分だけでなく、マインドの面でも、田中は良いディフェンスをした」と振り返る。第3クォーターの中盤、田中の役割を一時引き継いだ津屋一球のディフェンスに足りない部分を見るや、パヴィチェヴィッチヘッドコーチがタイムアウト時に身振り手振りと激しい口調で『もっと厳しく、こうディフェンスするんだ!』と伝えた。そのことからもいかに田中が厳しい守備をしていたのかが分かる。

田中自身は自らの豊富な経験も踏まえて、冷静に状況を見ていたという。「逆の立場で考えた時に、(ハーフタイムで)間が空いてしまうと、後半も20点を取ることは意外と難しいです。第3クォーターの最初でリズムを止められればと思っていた」。まさにその仕事を貫徹してみせた。

田中の素晴らしいディフェンスをきっかけにリズムをつかんだSR渋谷は、全選手の特長が噛み合い、見事な逆転勝利をつかんでみせた。チャンピオンシップ進出に向けて、勢いを加速させる1勝だった。