マイケル・ポーターJr.

ゲームハイの30得点「この試合のことは意識していた」

ナゲッツは3連敗でオールスター休暇を迎えたが、ここでコンディションを整えて王者の強さを取り戻した。オールスターで疲弊せず、むしろ仲の良いルカ・ドンチッチとのプレーを楽しんでリフレッシュしたニコラ・ヨキッチが4試合連続でトリプル・ダブルを記録。数字を伸ばしにくいアシストも順調に伸びたのは、周囲の選手がヨキッチと完璧なコミュニケーションを取ってパスを引き出し、シュートを決めていったからだ。

現地2月29日にはホームでヒートと対戦。ヒートもオールスターを挟んで5連勝と好調で、昨シーズンのNBAファイナル以来となる両者の戦いぶりが注目された。ヒートはタイラー・ヒーローが欠場、ナゲッツはジャマール・マレーが足首を捻挫して後半は出場できず、両チームともに点の取れるポイントガードが不在に。序盤はナゲッツが優勢で、マレーをケガで欠いたことでヒートに主導権を奪われ、後半に再びリズムをつかむも終盤にはヒートに猛追される、緊迫した展開となった。

ヒートの粘り強さを生み出す中心となったのはバム・アデバヨだった。絶好調のヨキッチを抑えるとともにオフェンスでもアグレッシブに攻めた。「僕らは常に自分自身を試す。苦しい状況に追い込まれても、それが僕らの力になる」とアデバヨは言う。

それでも、ヒートはディフェンスを強調してロースコアゲームに持ち込み、ヨキッチを18得点11リバウンド7アシストと『彼にしては』低調なスタッツに封じ込めながら、一度もリードを奪えずに敗れた。ヨキッチを擁しながら彼に依存することなく、相手のマークが集中すれば別の選手が点を取ることができる多様性がナゲッツの強みで、それはマレーがケガで抜けても変わらなかった。

103-97というロースコアゲームで両チーム最多の30得点を挙げたのはマイケル・ポーターJr.だ。彼はヨキッチとマレーに続く第3の得点源としてナゲッツの優勝に貢献したが、NBAファイナルではシュートスランプに陥り、5試合で平均9.6得点、3ポイントシュート成功率は14.3%と低調で、ディフェンスとリバウンドに専念する状況だった。優勝を決めただけに、そこで悔しさを見せることはなかったが、その再戦となったこの試合でのリベンジを彼は誓っていた。

「NBAファイナルは素晴らしいシリーズだった。その再戦を僕は楽しみにしていたんだ。これでシュートスランプを過去のことにできる」とポーターJr.は語る。「すべての試合で大活躍できればベストだけど、そんなに簡単じゃない。でも今日はファイナルで対戦した相手と戦うビッグゲームで、オールスターが終わってシーズン再開となる時点でこの試合のことは意識していた」

オールスター休暇からの5試合、ヨキッチのトリプル・ダブル連発が目立っているが、ポーターJr.はこのうち3試合でチームトップの得点を記録している。このチームではどうしてもオフェンスの3番手になってしまうが、彼は彼なりに成長を続けている。サイズと機動力を生かしたディフェンスは、アーロン・ゴードンの存在も合わせてナゲッツに抜群の安定感をもたらしている。オフェンスもヨキッチとマレーがお膳立てしたチャンスを確実に決めるのが一番の役割ではあるが、今シーズンになってフローターを取り入れてプレーの幅を広げ、それが最近の好調に繋がっている。

「リムに届かないようなシュートになってしまう時もあるからタッチは試行錯誤だけど、良い武器になってきていると思うよ」とポーターJr.は言う。「ジョーカー(ヨキッチ)もジャマールもフローターが上手い。素晴らしいお手本が目の前にあるんだから、自分のプレーに取り入れたいと思うのは当然だよね」