ベン・シモンズ

シュートを打たず無得点も9リバウンド5アシスト

ベン・シモンズがウェルズ・ファーゴ・センターに戻って来た。セブンティシクサーズを追われてから3年が経過し、その後は厄介な腰のケガに苦しめられてきたシモンズは、まだ再起の途中にある。今シーズンは万全の準備を整えて開幕を迎えたはずが、6試合に出場しただけで腰のケガが再発。現地1月29日のジャズ戦で2カ月半ぶりの復帰を果たし、続くサンズ戦は休養したものの、かつてのホーム、フィラデルフィアでの試合でプレーした。

2016年、当時はドアマットチームだったシクサーズに全体1位指名されたシモンズは、ケガでデビューが1年遅れたもののデビューシーズンから大活躍し、チームの将来を担うと期待された。ところがケガでの欠場が増えると本来のプレースタイルを見失い、タイトなディフェンスと自らのドライブでズレを作り出し、アシストできる長所よりも、シュートが苦手という短所ばかりがクローズアップされるようになった。現地のファンも、後にはチーム関係者までもがそのような目でシモンズを見るようになり、彼は負の連鎖から抜け出せなくなった。

これまでも何度かシモンズは『古巣との対戦』を経験しているが、今回もコートに姿を現しただけで激しいブーイングを浴びることになった。ボールを持てばブーイング、ファウルをしたり味方へのパスが合わなかったりすれば歓声が上がったが、何度も経験していればインパクトは薄れる。シモンズは『ノイズ』に惑わされず、自分のプレーに徹した。

まだケガの影響があるためプレータイムに制限があり、出場はわずか14分。シュートは1本も打たず、フリースローを得ることもなく無得点に終わった。この点はシクサーズのファンが悪意を持って『期待した』プレーだっただろうが、その一方で彼はシュートを打たなくても9リバウンド5アシストと『らしさ』を発揮。コートに立った14分間の得失点差は+7と、役割を全うした。シモンズは「大の大人が叫び、僕に怒りをぶつけてくる。でも、スポーツだからそんなに深刻じゃない。僕は楽しんでいるよ」と語る。

シモンズとともにセカンドユニットを引っ張ったロニー・ウォーカー四世は20得点を記録。シモンズのプレーについて「悪い部分なんてどこにもないよね?」と話す。「これまで彼について語られるのは、シュートを打たないとか得点できないとかの話ばかり。みんなその話題が好きかもしれないけど、彼はバスケ選手だ。この競技をよく知り、正しいプレーをしている」

シクサーズはジョエル・エンビードが膝のケガで戦線離脱中。それだけでなくトバイアス・ハリス、ニコラス・バトゥーム、ディアンソニー・メルトンまでケガや体調不良で欠場となった。タイリース・マクシーとケリー・ウーブレイJr.がその穴を埋めようと奮闘するも、2人合わせてフィールドゴール37本中11本成功と効率の悪さが目立った。第1クォーターで16点のビハインドを背負い、その後も押し返すことができずにあっさりと敗れたが、指揮官ニック・ナースは「選手の努力が足りなかったとは思わない。今日はあまりにも駒不足だった」とプレーした選手たちの姿勢を称えている。

エンビードはもともと痛めていた左膝をウォリアーズ戦で悪化させた。半月板の損傷で、今は検査をして治療方法を検討しているが、長期離脱もあり得る状況だ。シクサーズは現状で『エンビード抜きの戦い方』を持ち合わせていない。これからマクシー中心の戦い方を模索していくことになるだろうが、チームは大きな危機を迎えている。