強行出場のジョエル・エンビードは膝を悪化させる
第4クォーター残り4分、12点ビハインドを負うセブンティシクサーズのエース、ジョエル・エンビードがドレイモンド・グリーンを相手にポストアップで押し込もうとするところに、ジョナサン・クミンガが飛び込みボールに触れる。こぼれたボールを負ってエンビードがコートに身体を投げ出し、その左膝にクミンガが倒れ込んだ。エンビードは膝を押さえて悶絶したがプレーは止まらず、こぼれたボールを奪ったステフィン・カリーが速攻でのレイアップを沈める。
エンビードは自分で立ち上がって歩くことができたものの、向かった先はベンチではなくロッカールームだった。タイリース・マクシーが足首のケガで3試合連続で欠場中で、エンビードまで抜けたのでは、勝負をあきらめるしかなかった。
エンビードはもともと左膝を痛めていて、1月上旬の3試合を欠場した他、直近ではニコラ・ヨキッチとの『MVP対決』が注目されたナゲッツ戦、続くトレイルブレイザーズ戦の2試合を左膝の腫れのために欠場し、復帰したところだった。この試合では30分のプレーで14得点7リバウンドと平凡な出来で、走ったり跳んだりするのをセーフしていたのは明らか。エンビードはレギュラーシーズンであと5試合欠場すると、オールNBAやMVPを含む個人賞を受賞する資格を失う。それを避けるために強行出場したのではないかとの問いに、指揮官ニック・ナースは「それについて話すことはない。メディカルチェックを通り、彼自身も問題ないと話していた」と語るに留めた。
エンビードはフィラデルフィアに戻ってMRI検査を受ける予定。個人賞の資格を失う危機だけでなく、これで4連敗で東カンファレンス5位へと順位を下げたチームにも大きな影響が出ることになりそうだ。
一方で119-107で勝利したウォリアーズはアシスタントコーチの突然の死から試合を再開し、これで2勝2敗。それ以前から様々な問題を抱えてチームのパフォーマンスが上がらなかったが、久々に攻守が噛み合った。特に、2人同時に起用すると機能しないと批判されていたジョナサン・クミンガとアンドリュー・ウィギンズは揃って先発に名を連ね、クミンガは23得点7リバウンド3スティール、ウィギンズは23得点4アシスト3スティールと攻守に活躍。「シクサーズの状態が十分でなかったのを差し引いても、チームが良い変化をしているのが分かるのは楽しいものだ」と指揮官スティーブ・カーは語る。
チームが攻守に機能すれば、カリーはトランジションのスピードに乗り、気分良くプレーすることができる。37得点8リバウンド7アシストでチームを引っ張った彼は、試合後にこう語る。「今シーズンの僕らは感情面でジェットコースターのように激しく揺れている。勝てたはずの試合を落とすこともあったし、家族であるチームの内部で問題が起きたり、苦戦が続いた。勝率5割から5ゲームも下回ると余裕なんかなくなってしまう」
「だからこそ僕は、チームにとってできる限りポジティブな存在でいたい。今日のような勝利をつかみ、苦境を乗り越え、ロッカールームで笑顔でいたいんだ。みんな積極的にやらなきゃいけない。このリーグでは誰か一人の力で勝つのは本当に難しい。スタッツは残せても、勝つのは難しいんだ。そんな状況でコートに立つ5人がお互いの理解を深め、良いプレーができつつある」
「みんな結果に左右され、負けが続くと精神的にやられてしまうけど、厳しい時こそ自分たちがやってきたことに立ち返るべきだ。スランプに陥ったり負けが続いた時、唯一頼りになるのは自分の身体や心、スキルを高めるための努力をどれだけやってきたかなんだ」