ラッセル・ウェストブルック

「ミスとか勝敗は二の次で、楽しむことが一番大事」

クリッパーズは3勝7敗と低調なスタートを切った後に持ち直し、ジェームズ・ハーデンもチームにフィットして、以後は23勝7敗と絶好調をキープしている。それでも現地1月21日のネッツ戦では苦戦を強いられた。中4日と試合間隔が空き、それは各選手が疲労を抜き、身体をケアできるメリットはあるものの、結果として2日前にレイカーズ相手に完勝を収めたネッツの勢いに押されることとなった。

ネッツが2桁前後のリードを守る展開が長く続いたが、第4クォーターになって風向きが変わる。ディフェンスの圧力が強まりネッツのミスを誘うようになると、ラッセル・ウェストブルック、ノーマン・パウエル、そしてハーデンがディフェンスからオフェンスへと良い流れを作っていく。

第4クォーター開始1分の時点で86-104と、この日最大となる18点ビハインドを背負ったが、クリッパーズにあきらめる気配は全くなかった。その攻守に強烈な推進力を与えたのがウェストブルックだ。ハーデン加入後にチームが噛み合わなかった時にベンチスタートを受け入れた彼は、チームが快進撃を続けている今もシックスマンであり続けている。

そのウェストブルックは言う。「僕の仕事はどの試合でもプレーする準備を整えておくことなんだ。攻守にエネルギーを出すのが僕のプレースタイルで、僕がこのチームに貢献できる最大の要素だ。82試合の長いシーズンでは、スロースタートになってしまう試合も出てくる。そういう時に、オフェンスであれディフェンスであれチームに必要なエネルギーを出して、試合に良いインパクトを与えたいと僕はいつも考えている」

ウェストブルックは23得点9リバウンド6アシストとオールラウンドな能力を発揮。ただ、彼の真価はスタッツでは測れない。動きの重かったチームに彼が喝を入れ、攻守を引っ張るエネルギーをチームメートに次々と波及させて、クリッパーズの目を覚まさせた。ネッツもシュートタッチが好調で、第4クォーターの前半は派手なオフェンス合戦となったが、時間が進むにつれてクリッパーズはディフェンスのレベルも上げていく。

ホームの雰囲気もそれを後押しした。残り8分を切ってウェストブルックがダンクを叩き込み、続いてダニエル・タイスもダンクを決めると、ファンは立ち上がって大歓声を送り、チームにさらなるエネルギーを注入する。残り5分半、ミカル・ブリッジズがこの試合26点目となるシュートを決めて114-103と再びリードを2桁に広げたが、そこから試合終了のブザーまでネッツは追加点を挙げられなかった。ポール・ジョージにパウエルの3ポイントシュート、カワイ・レナードが粘り強くもぎ取るフリースロー。そのすべてにファンが大歓声を上げる中、ネッツは勢いを失っていく。

ラスト5分半で22-0という驚異的なランを見せたクリッパーズが、最終スコア125-114で勝ち切った。

「苦戦したけど、そこからよく巻き返せた。この素晴らしいチームで出場機会と役割を得られているのは光栄だよ」とウェストブルックは言う。波に乗れないチームを変え、敗色濃厚だった試合を変えたのは間違いなく彼だったが、「みんな僕のために戦ってくれた。そのことに感謝している」と謙虚な姿勢を崩さない。

試合後の記者会見、息子を膝に乗せたウェストブルックは上機嫌でこう語った。「楽しい試合だったよ。サッカーをやっている息子にいつも言っているんだけど、スポーツの試合ではミスとか勝敗は二の次、楽しむことが一番大事なんだ。今日のそれは、僕らだけじゃなくアリーナにいる人々がもたらしてくれた。そのことに感謝しているからこそ、僕はコートに立つたびに自分のすべてを捧げたい。こうして試合に出て、自分の好きな競技を楽しみながらプレーできるのは本当に恵まれている。これからも自分の身体と心を大切にしながら、自分らしい仕事を続けていきたい」