秋田ノーザンハピネッツ

以前、秋田でタッグを組んでいた『前田HC』が激突

秋田ノーザンハピネッツvs長崎ヴェルカの第1戦。秋田は右下腿三頭筋肉離れの赤穂雷太が、長崎は体調不良の狩俣昌也がそれぞれ欠場となった。

開始約3分、ホームの秋田にアクシデントが発生。大黒柱のスティーブ・ザックがリバウンド争いの際に左足を痛めて、その後試合に出場することができなくなった。序盤は拮抗したものの、3ポイントシュートが決まらない秋田が失速。ペイントアタックからの合わせのプレーが高確率で決まり、荒谷裕秀がディープスリーを沈めるなど、内外バランスの良いオフェンスを展開した長崎が25-18と先行した。第2クォーターに入っても勢いの止まらない長崎は、開始4分半にジャレル・ブラントリーが3ポイントシュートを沈めて点差を2桁に乗せると、さらにマット・ボンズがスティールからワンマン速攻を決める。

秋田はタイムアウトを取るもオフェンスを成功させられず、トランジションから3点プレーを許し、この試合最大となる16点のビハインドを背負った。しかし、ハビエル・カーターがインサイドで連続得点を奪い落ち着きを取り戻すと、ボールムーブが活性化。古川孝敏が3ポイントシュートを沈めて点差を1桁に戻すと、ディフェンスも機能し13-0のランで38-42と迫り前半を終えた。

後半に入り拮抗した展開が続いたが、開始約5分にカーターの速攻が決まってついに同点に追いつくと、保岡龍斗のブザービータースリーで締め、秋田が5点をリードして最終クォーターへ。その後も一進一退となったが、ゾーンディフェンスを併用するチェンジングディフェンスが機能した秋田が主導権を握り続け、残り1分37秒にタナー・ライスナーの3ポイントシュートでリードを9点に広げて78-71で逃げ切った。

長崎の前田健滋朗ヘッドコーチは、前田顕蔵ヘッドコーチが自らリクルートし、2019-21シーズンまで秋田のアシスタントコーチを務めた人物。そのため、「懐かしい気持ちを感じ、本当に最高の雰囲気の中で試合をやらせていただけることがまずうれしかった」と、秋田への特別な思いを明かした。また、「2年前の天皇杯、ヴェルカができて数カ月で秋田さんと試合をさせていただきましたがそこで超えることができませんでした。今回も越えることができなかったのでまだまだ足らないと。もっと強いチームにならなきゃいけないので、明日チャレンジしたいと思っています」と、あらためて初の秋田超えを期した。

前田顕蔵ヘッドコーチも前田健滋朗ヘッドコーチを「非常にリスペクトしている」と言い、かつてタッグを組んだ指揮官に対しこのように語った。「彼の強みはデータ分析で当時は非常に助かっていました。彼から学ぶことは非常に多く、教えられたこともたくさんあって良い思い出が多いです。もともと素晴らしいコーチだと思っていましたが、3年でここにいるというのは本当にすごいことだと思います」

12月に11勝1敗と大きく勝ち越した秋田だったが、年明けからアウェーで3連敗を喫していた。それでも、前田顕蔵ヘッドコーチが「自分たちのバスケットで勝ったことは非常に大きい」と言うように、最大16点差を覆し、連敗脱出と勝率5割復帰を果たした今回の勝利はただの1勝以上に価値のあるモノとなった。