伊東友莉香

チャラウのファウルトラブルから制空権を支配されて失速

ウインターカップ女子準決勝、京都精華学園vs東海大学付属福岡は高さの利を最後まで生かした京都精華が85-62で勝利し、連覇へ王手をかけた。

東海大福岡は高確率の3ポイントシュートなど、質の高いプレーで食らいつき、互角の試合を演じた。しかし、得点源の浜口ゆずが第2クォーター途中に右足を痛めてベンチへ下がり、さらにチャラウアミが第2クォーター残り1分48秒に痛恨の個人4ファウルを犯したことで、試合の流れが変わった。

東海大福岡の宮﨑優介コーチはチャラウのファウルトラブルについて、このように語る。「チャラウが第1クォーターに僕のところに珍しく来て『先生、タイムアウトを取ってください。ちょっとキツイです』って言ってきたんです。やっぱりレベルの高い留学生を2枚相手にすると、それだけ消耗もして、いらないファウルに繋がってしまったのかなって思います」

劣勢に立たされたものの、前半は33-37と耐えた。しかし、後半に入ると制空権を握られ、徐々にビハインドは広がり、最後まで反撃のきっかけをつかめずに大差で敗れた。

チャラウとともに東海大福岡のインサイドを任される伊東友莉香も「ファウルトラブルになり、中をガンガン攻められたところがやっぱり痛かったです」という。伊東は初戦の柴田学園大学附属でチームハイの18得点を挙げ、続く鵠沼戦でも16得点を記録。65-63で勝利した大阪薫英女学院との大一番では逆転のラストショットを含む15得点を挙げた。この試合でも10得点を挙げたが、主に点差が離れた場面での得点が多かった。またチャラウがいない時間帯に留学生とマッチアップした際、ファウルを気にし過ぎてしまったことでイージーシュートを許し続けた。

「アミが4ファウルで、次に大きいのが自分だったから、自分までファウルが混んでしまったらダメだと、絶対にファウルアウトしないように、手を上げて守ることしかできなかったです」

もちろん、その選択に間違いはない。だが、そこでギリギリの駆け引きができていれば、試合はまた違った内容になったかもしれない。伊東も「ペイントに入られる前にもっと強く押し出したりしていたら、もっと違う展開だったかなと思います」と悔やむ。

マッチアップする相手に得点を量産されれば、否が応でもメンタルはやられる。明るい彼女の笑顔はチームに力を与えるが、伊東から笑顔は消えていた。伊東が本来の力を出し切れなかったのは、留学生だけでなく八木悠香をも相手にしていたからだろう。八木は世代別代表にも名を連ねるトップ選手で、この試合でも24得点17リバウンドと圧巻のプレーを見せた。

実際に伊東は「めっちゃ上手でした」と笑顔で言い、八木に敬意を表した。「自分でリバウンドを取ってから持っていくところとか、ハイポストからのドライブの瞬間がめっちゃ速かったです。身体も強かったですし、手が長いからシュートを打つ時に(チェックが)来る感じがしました。そういう選手を相手にしても、しっかり決める練習をしていかないといけないと思いました」

宮崎コーチも「八木選手とのマッチアップで面を食らったのではないかなと思います。打たされたり、ディフェンスもオフェンスもリズムをつかめていないと、彼女自身も感じていたのでは」と言う。だが、それと同時に、「彼女はまだ2年生なので、この経験も次年度に繋がっていく」と話した。

目標の全国制覇はならなかったが、2年で世代最強プレーヤーとのマッチアップを体験したことは大きな財産となる。個人として、そしてチームとしてもさらに強くなり、再び東京体育館に戻ってくることに期待したい。