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「近づいているのは理解しているし、心の準備もしている」

1月26日に40歳の誕生日を迎えたビンス・カーターは、キャリア18年目の大ベテラン。1998年のドラフト5位でラプターズから指名され、NBAを代表する『ダンクマシーン』として一時代を築いた選手だ。その後もリーグを代表する選手の一人として活躍してきたものの、マーベリックスでの2年目にあたる2012-13シーズンから先発出場の機会が激減し、3シーズン前から所属するグリズリーズではセカンドユニットの一人としてチームを支えている。それでも、その闘志は衰えず、選手として成長し続けようと日々奮闘している。

とはいえ、終わりの時期が近付いているのは紛れもない事実。カーターは『ESPN』の取材に対し、現役引退の不安を口にした。

「不安になる時もある。引退が近づいているのは理解しているし、心の準備もしているけれど、たまに『まだ辞める準備はできていない』と思うこともある。ラプターズで一緒だったみんなは、もうNBA以外の世界に進んだ。きっと彼らも『これからどこに向かうんだろう?』と考えていたんだろう。彼らは準備ができていたのだと思うよ」

引退後には指導者か解説者への転身を考えているというカーターは、多くのスター選手にありがちな『引退後の転落人生』を送らないよう細心の注意を払っている。現役選手であるうちから、これだけ引退後の人生について考えている選手も珍しい。人生の約半分をプロバスケットボール選手として生きてきたからこそ、新たな世界に足を踏み入れることに恐怖感を覚えるも当然だ。「その時がきたら、大丈夫だとは思う」と本人は言うが、迷いは隠せない。

「朝に起きて『あと1年はやれるかな?』と思う日もあれば、『今年で終わりかな?』と考える時もあるし、たまには『あと3年はやれそうだ』と思ったりもする。あと何年やれるか断言はできない。怖いよ。それだけバスケットボールが大好きで、辞めたくないから。だからまだ辞めたくないんだ」

ラプターズ時代のカーター。類まれな跳躍力を生かし超人的なダンクを連発していた。