残り5分で17点リードを守り切れず「すごくもったいない、勝ち切れた試合だった」

シーホース三河は、バイウィーク明けとなる12月2日、3日にホームで琉球ゴールデンキングスと対戦。初戦は強度の高いディフェンスで流れを引き寄せると、要所でタフショットを沈める決定力の高さを見せることで93-73と圧勝した。

続く第2戦も、前半にリードを許すが第3クォーターの出だしで猛攻を仕掛けてすぐに逆転。さらに激しいディフェンスからターンオーバーを誘発すると、3ポイントシュートの連続成功と理想的な展開で一気に突き放し、第4クォーター残り5分の段階で17点の大量リードを奪う。

このまま押し切って王者相手に2試合続けての快勝をおさめることができたら、三河にとって大きなステップアップに繋がるところだった。しかし、実際は大量リードが影響したのか集中力を欠いたプレーが目立ち始め、ここから三河のオフェンスは個人技に頼った淡白なものになってしまう。その結果、琉球に反撃のきっかけを与えると、相手の勢いを止めることができず残り21秒で追いつかれオーバータイムに持ち込まれた。

オーバータイムでは琉球に先行を許し、残り2分半で6点のビハインドを背負った。残り12秒に西田優大が3ポイントシュートを沈めて同点に持ち込むが、直後の琉球オフェンスを止められず82-84と痛恨の逆転負けを喫した。

三河のエースである西田優大は、「すごくもったいない、勝ち切れた試合だったと感じます」と悔しさを露わにする。そして、残り5分で17点差を追いつかれた課題をこのように見ている。

「もちろん相手のプレッシャー、プレーの強度は上がっていました。それに対して少しボールが回らなくなってしまった部分はありました。また、琉球さんは本当にリバウンドが強いチームで対策をしてきましたが、勝負どころでリバウンドを取られ始めると、どうしても向こうに流れが行ってしまう。ここ一番での遂行力の差が出てしまったと思います」

「僕たちの課題としてターンオーバーが多いところがあります。昨日はターンオーバーが9に対してアシストは25だったのが、今日は(ターンオーバー15、アシスト14)ターンオー バーが増えてしまいました。そして、勝負どころでのターンオーバーもちらほらと出てしまいました」

「やってきたことをやれば勝てる。やっていることは間違っていない」

西田はこの試合で個人で16得点5リバウンドを記録。琉球のエースキラーである小野寺祥太の密着マークを受けながらも攻撃の起点としてチャンスを作り出し、守備では相手のエースである今村佳太への激しいディフェンスと、スタッツに出ない部分での貢献も大きかった。

また、オーバータイム残り12秒での同点弾は、タイムアウト明けのセットプレーであり、 西田がシュートを打つためにデザインされたプレーだった。三河の外国籍やアジア枠にはシュート力の高い選経験豊富な選手が揃っているが、それでも大事な場面でシュートを任されたことは名実ともに西田が三河のエースであることを示している。

「今日の最後、ああいうセットプレーの中でも打ち切ることができました。僕の中でも全然迷いはなかったですし、エースの覚悟ではないですけど、そういった気持ちは確立できているのかなとは思います」

こう語るように西田本人もエースとしての強い覚悟を持ってチームを牽引している。だからこそ、自分はもっとやれることがあったと続ける。「最後だけに目をやるのではなくて、例えば苦しい時間帯で、ポイントガードだけにハンドラーを任せるのではなく、僕が少しでもシェアできればもっと楽にボールを運ぶことができました。もっと自分を起点に、守備を崩しに行ってもいい立ち位置にいると思うので、そういった部分を出していきたいです」

会場を沸かせた今村との日本人エース対決は、試合全体を見れば互角と言える内容だったが、西田本人は違う考えだ。「トータルで見たらそうかもしれないです。でも最後、今村さんにやられてしまいました。ああやって決め切る力を見せられて今日は、今村さんに負けてしまった感覚の方が強いです」

自滅に近い形で同一カード連勝をあと一歩で逃し、三河にとっては後味の悪い終わり方となった。ただ、初戦の快勝など「バイウィークは、僕たちが一番練習していたと思えるくらい、本当にめちゃくちゃハードに練習しました」と振り返る成果もしっかり出せた。チームが着実に前進していることへの手応えを西田は語る。「練習したことが出せた週末でもありました。連勝はできなかったですが、やってきたことをやれば勝てる。やっていることは間違っていないです」

その上で、今の勝率5割から貯金を増やしていくには、いかに接戦を勝ち切れるかが大事となってくる。そして接戦になればなるほど、最後はエースの決定力が勝敗を左右する傾向は強くなるが、西田にはその責任を背負う覚悟がある。

「最後はどうしても1対1から決められるかどうかというところになってきます。オフェンス、ディフェンスの両方で僕の成長は必要だと思います」