ジェームズ・ハーデン

29日のブレイザーズ戦には帯同するも溝は埋まらず

『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー氏が、セブンティシクサーズのジェームズ・ハーデンがトレードでクリッパーズに移籍すると報じている。

同氏によるとクリッパーズは、ハーデンに加えてPJ・タッカー、フィリップ・ペトルセブを獲得。シクサーズはニコラ・バトゥーム、ロバート・コビントン、マーカス・モリス、KJ・マーティンと2028年1巡(プロテクトなし)や2つの2巡など複数のドラフト指名権を得た。さらにシクサーズはロースター枠への空きを作るために、ベテランガードのダニー・グリーンを放出した模様だ。

34歳のハーデンは、2021-22シーズン途中にトレードでシクサーズに加入。ロケッツ時代に自身を絶対的なエースとするチーム作りを行ったダリル・モーリー球団社長の下、大黒柱のジョエル・エンビードとの強力コンビでの大暴れが期待された。しかし、実際はチームにうまくフィットせず、ここ一番でのコンディション不良もあって思うようなパフォーマンスを披露できずにいた。

このようにチームでの立場が微妙になっていく中、ハーデンは今オフに入ると契約問題のもつれから、かつての盟友であるモーリーを「嘘つき」と公然と批判。これによって両者の亀裂は決定的なものとなり、ハーデンはクリッパーズへのトレードを要求し、チームに合流しない状況が続いていた。シーズン開幕までにトレードは成立せず、現地29日に行われたトレイルブレイザーズとのホーム開幕戦に帯同したハーデンはベンチ脇で試合を見守っていたが、両者の溝が埋まることはなかった。

このトレードによって、シクサーズは余計な雑音をなくしコート内のことに集中できる環境が整りそうだ。ただ、ハーデン放出の見返りで得られたのは経験豊富なロールプレイヤーばかりで、エンビード、タイリース・マクシーに続く中心メンバーとなり得る存在はいない。思うように勝ち星が伸びていかない場合、今度はエンビードが明るい未来が見えないチームから去りたいと願うという、最も避けたい事態になる危険性は大いにある。

一方のクリッパーズは、ハーデンの加入によってカワイ・レナード、ポール・ジョージ、ラッセル・ウェストブルックとのビッグ4が誕生するが、彼ら4人をストレスなく、持ち味を生かしたまま共存させるのは難題だろう。また、レナード、ジョージ、ハーデンはコンディション面に問題を抱えており、この4人が揃ってプレーできる試合がどれだけあるのかも疑問。連携を構築できないままプレーオフに出場しても、勝ち進むことはできない。

このトレード以降も引き続き、両チームは良くも悪くもコート内外で注目を集めることになりそうだ。