ディロン・ブルックス

厳しい判定は「僕のイメージに対してのもの」

昨シーズンのディロン・ブルックスは激しいディフェンスでグリズリーズを支えると同時に、ドレイモンド・グリーンを「卑劣」と言い、レブロン・ジェームズを「年寄り」呼ばわりし、ドノバン・ミッチェルと乱闘を繰り広げるなど対戦相手との衝突を厭わず、『悪役』のイメージを定着させた。

そして今オフには、カナダ代表の一員としてワールドカップで活躍しながら、フリーエージェントとなってロケッツに移籍。そのデビュー戦となったペイサーズとのプレシーズンゲームで、ブルックスは早速『悪役』ぶりを発揮した。

ピック&ロールに対するディフェンスで、スクリーンのダニエル・タイスを回り込むように相手のガードについて行こうとしたブルックスは、すれ違いざまにタイスの股間を殴打。かくしてブルックスはわずか4分半プレーしただけで退場となった。

試合後もブルックスは悪びれる様子がなく、『悪役』のイメージが判定に影響していると言う。「スクリーンをかわそうとして、彼の腰を叩く形になったかもしれないが、ああいうシーンがあると必ず僕のせいになる。フレグラント2をコールするなら意図的にやったと分かっていなければならないけど、そのジャッジは僕のイメージに対して下されたもので、審判は僕がどういう人間なのか、本当のところは分かっちゃいない」

ブルックスが昨シーズンに記録したテクニカルファウルは18。それだけでなく、試合後まで対戦相手とトラッシュトークを繰り広げることも多い。チームのために最前線で身体を張って『悪役』のイメージが定着することを、ブルックスはむしろ誇りに思っている部分がある。しかし、今回の試合が勝ち負けを重視しないプレシーズンゲームであっても、彼の退場がチームに迷惑をかけていないわけではない。フレッド・バンブリートを新たなエースに迎え、1巡目4位指名のアーメン・トンプソンがデビューし、長い低迷期に終わりを告げるロケッツの第一歩となったはずの試合が、ブルックスの退場ばかりに注目される安っぽいイベントになってしまった。

汚れ仕事を厭わず、戦う姿勢を見せるのはブルックスの役割だが、コートに立って早々の退場劇まで求められていたわけではない。そして彼にはリーグから2万5000ドル(約370万円)の罰金が科された。今後ブルックスが変わるのか、それとも自分のスタイルを貫き通すのか。新天地でも彼からは目が離せない。