デイミアン・リラード

マサイ・ウジリ球団社長は、過去にもカワイ・レナード獲得とリスクを負った補強を行っている

昨シーズン終盤から続いている、トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードを巡るトレード騒動はいまだに着地点が見えない。若返りを推し進めたチームに対してリラードが決別を選択し、ヒートへの移籍を希望しているのは周知の事実だ。しかし、ヒートはブレイザーズの満足する交換条件を提示できておらず、高額年俸を抱え、ヒート以外でのプレーに興味を示さない33歳のベテラン選手を他チームが獲得に乗り出すこともない。予想通りとはいえ、リラードを取り巻く状況は停滞したまま数ヶ月が過ぎている。

そんな中、『ESPN』のNBAインサイダーであるマーク・スピアーズ氏は、ここに来てリラードの移籍先にラプターズが挙がっていると主張。同氏は「今、(リラードの行き先で)最も注目を集めているのはトロントと聞いている。今日、2人のNBAチームの幹部と話したが、トロントが最有力候補だと言っていた。ただ、トレードはすぐには起こらない」と語る。

そしてスピアーズ氏は、ラプターズのマサイ・ウジリ球団社長はリスクを負ったトレードをいとわない人物であると指摘する。「これまでブレイザーズとウジリには何度か交渉を行っている。デイム(リラード)はマイアミに行くことを望んでいるが、ウジリはそれでもトレードを行うことを恐れていない。2018年にはカワイ・レナードをスパーズから獲得し、チーム唯一の優勝を果たしている」

ラプターズがレナードを獲得した2018年当時、レナードは前年のシーズンを故障でわずか9試合出場で終えていた。さらに契約最終年のため、1シーズンでチームを去る可能性があるなど不確定要素が多かったが、ウジリはそれでもチームのエース格だったデマー・デローザンを放出してまでレナードを獲得。翌年、レナードはフリーエージェントとなりクリッパーズへと去っていったが、レナード在籍の1シーズンでラプターズはチーム初リーグ制覇という最高の成果を挙げ、ウジリは賭けに勝っている。

さらにスピアーズ氏は、「デイムの契約はあと3年残っているが、彼はプロフェッショナルとして知られている。もし、マサイが何かを起こしたいのなら、再び一か八からの勝負をする必要がある。今は(リラードの行き先について)静かな状況だが、トロントが獲得するという話が多い」と続けている。

ラプターズは過去3シーズンでポストシーズン出場一回のみ。出場した2021-22シーズンも1回戦敗退と停滞している。ロスターの改革を行うため、ウジリがリラードの高いプロ意識を信頼して再び大きな賭けに出たら、レナード獲得時以上の衝撃となるが、果たしてどうなるだろうか。トレーニングキャンプ開幕が迫った中、リラードの去就が大きく進展するのかもしれない。