クリス・ミドルトン&ヤニス・アデトクンボ

「彼がいつも考えていることを言っただけだよ」

8月下旬、ヤニス・アデトクンボは『New York Times』の独占インタビューに応じ、バックスとの契約延長について「みんなが同じ考えを共有して、家族と離れる時間を犠牲にして優勝を目指すんだと感じられなければ、契約延長はしない」と発言した。

NBAのトッププレーヤーの一人となり、チームの顔としてNBA優勝を勝ち取って、まだ28歳でこれからキャリアの全盛期を迎える。そのアデトクンボが市場に出る可能性が浮上したことは大きなニュースとなった。

2021年のNBA優勝から2年が経過し、アデトクンボを支えるコアメンバーはブルック・ロペスが35歳、ドリュー・ホリデーが33歳、クリス・ミドルトンが32歳と年齢を重ねた。近い将来に世代交代が必要となるが、そこで弱体化してしまうようであれば、彼は出ていく。バックスにとっては極めて緊張感のある状況だ。

だが、アデトクンボのことをよく知るバックスの仲間たちは大して驚いていないのかもしれない。ミドルトンは『ESPN』の取材に「いつもと変わらないよ」と答える。「僕個人がその言葉に影響されることはないし、チームも同じだと思う。彼がいつも考えていることを言っただけだよ」

「僕らはいつだって彼がここにいてくれることを望んでいる。世界最高の選手の一人であり、バックス史上最高の選手の一人だからね。彼がああいう発言をするのは、クラブに対して優勝を狙えるポジションに常にいるように挑発して、プレッシャーをかけたいからだけど、それは彼が自分自身にプレッシャーをかけていることでもある」

「チームとしても個人としても、常に成長して上を目指さなければいけない。それは彼に言われるでもなく当たり前のことだよ」

昨シーズンのミドルトンは膝のケガにより33試合にしか出場できなかった。レギュラーシーズン終盤にプレータイムを伸ばしてプレーオフには間に合わせたものの、本来のパフォーマンスは見せられないままだった。チームはファーストラウンドでヒートに1勝4敗と完敗。優勝した2020-21シーズンにはファーストラウンドでヒートをスウィープで下していたのだから、初戦でアデトクンボが腰を痛める不運があったとしてもバックスが下降線をたどっているという印象を残した。

それでもミドルトンは自信を失ってはいない。「この1年半か2年ぐらい、僕は様々なケガに悩まされてきた。手術が必要だったり、思ったより長引いたりしたけど、このオフでかつての健康な自分を取り戻す方向に向かっている」と彼は言う。

2021-22シーズンのプレーオフではファーストラウンドの第2戦で左膝を痛めて、以後の試合を欠場。その後は左手首の靭帯修復手術もあり、オフをすべてリハビリに費やした。それでも今オフはしっかりとトレーニングができており、それが自信に繋がっている。

彼は言う。「ここ2、3カ月は思ったようにトレーニングに取り組めている。良い方向に向かっているよ」