「フィジカルにプレーし、日本のテンポをスローダウンさせることができました」

8月25日に開幕するバスケワールドカップにおいて優勝候補の一角であるフランス代表は、8月17日に日本代表と強化試合を行い88-70で快勝した。前半こそ日本のトランジションに苦しみ45-40と互角の展開に持ち込まれたが、後半に入ると地力の違いを見せ、プレーの強度と精度で大きな差をつけて一気に突き放した。

フランスが後半に圧倒した最大の要因は、持ち前の高さを生かし、ゴール下を完全に支配したこと。特に大黒柱のルディ・ゴベアがオフェンスリバウンドから豪快なダンクを叩き込むなど、文字通り世界の壁の高さを見せつけた。

20分の出場でフィールドゴール7本中7本成功の16得点、4つのオフェンスリバウンドを含む9リバウンドを記録したゴベアは、こう試合を総括する。「良いプレーができたと思います。日本はとても特徴のあるプレースタイルです。多くのシューターがいて、とても速いペースです。第1クォーターはタフでしたが、僕たちはフィジカルにプレーし、日本のテンポをスローダウンさせることができました」

そして自身のパフォーマンスについての評価をこう続ける。「インサイドにいる僕を見つけてくれて、チームメートたちが素晴らしい仕事をしてくれました。日本があまりサイズのないチームであることを分かっていました。ゴール下における自分のプレーで、流れを引き寄せることができたと思います」

フランスが日本と試合をするのは東京五輪前の強化試合以来となる。この時は来日直後でコンディションがかなり悪かったことなども響き、75-81で敗れている。「負けたことは覚えています」と語るゴベアは、あの一戦がチームにポジティブな影響をもたらしたと当時を振り返る。「あの試合は僕たちにとって良い機会になりました。負けたことで多くを学び、より謙虚になれました」

ゴベアの来日も東京五輪以来だ。前回は新型コロナウィルスによる感染対策で会場とホテルの往復のみだったが、今回はそれもなく自由に行動できる。ゴベアは言う。「僕は日本のことが好きです。例えば日本のアニメ、寿司、和牛、日本の文化を気に入っています。東京五輪の時は外出することができなくてタフでした。今回は街、文化について学びたいです」

そしてフランス代表の公式SNSでは、ファンサービスを熱心にする姿が紹介されているが、そこには次の思いがある。「日本にはあまり来ることができないです。だからこそ、日本に来た時にファンの皆さんがNBAのシーズン中やキャリアを通してサポートしてくれていることに対して、僕の愛情を示すことはとても重要です」

フランスは20日に東京・有明アリーナで同じく優勝候補のオーストラリアと強化試合を行う。大会初日、グループリーグ初戦でいきなり行われるカナダとの大一番に向け、ゴベアは次のように重要視する。「オーストラリアはとても強いチームで、僕たちにとってワールドカップ前では最後の試合となります。僕たちにとって良いテストになります。チームをより成長させる機会になることを望んでいます」

世界屈指のトップチーム同士の対決を、日本で見られる貴重な機会を楽しみたい。そしてコート外では、ゴベアが少しでも日本を楽しみ、より好きになってくれたらと願う。