クリッパーズが土壇場で交渉から撤退、グリズリーズとの3チーム間トレードに
セルティックスはクリスタプス・ポルジンギスをトレードで獲得することを決めていた。ところが交渉の詰めの段階になって、3チーム間トレードの一角であるクリッパーズが、マルコム・ブログドンのコンディションを懸念して交渉から撤退。ブログドンは右肘の腱をケガしており、無理がたたってカンファレンスファイナルではパフォーマンスを落としていた。ブログドンは30歳で、クリッパーズはこのケガが長期に渡り影響を及ぼすことを嫌がった。
そこで交渉には新たなチーム、グリズリーズが加わった。グリズリーズは今年のNBAドラフトの25位指名権と来年の1巡目指名権をセルティックスに譲り、タイアス・ジョーンズをウィザーズに送る。ウィザーズはジョーンズに加え、セルティックスからダニーロ・ガリナーリとマイク・マスカーラ、また今年の35位指名権を獲得した。
ポルジンギスはプレーヤーオプションとなっている3600万ドル(約48億円)の契約最終年を行使した上でセルティックスに加わり、来夏にフリーエージェントとなる。
ポルジンギスがセルティックスにとっていかに有用かは先の記事で触れたが、驚くべきはセルティックスがブログドンで交渉がまとまらないとなると、スマート放出を決断したことだ。ブログドンはシックスマン賞を受賞する活躍を見せたが、セルティックスでプレーしたのはこの1年のみ。対照的にスマートは2014年に1巡目6位指名を受けてから9シーズンをセルティックスで過ごしたフランチャイズプレーヤーだ。
スマートを放出することで、ブログドンでは得られなかった指名権を得られたが、先発ポイントガード不在を埋めるのは簡単ではない。ポルジンギス獲得でフロントコートは整備されたが、今度はバックコートの層が課題となる。クリッパーズが懸念した通りにブログドンのケガが長引く、もしくは治ってもパフォーマンスを落とすとなると、状況はさらに深刻だ。1巡目25位で即戦力のガードを指名するのは難しく、この指名権を使ってさらなるトレードがあるかもしれない。
ブログドンとポルジンギスのトレードが決まったとのニュースを見て眠りについたボストンのファンは、翌朝にはスマートの放出に飛び起きることになる。髪を緑色に染めてセルティックスへの忠誠を示し、コート上では戦う姿勢を前面に押し出したリーダーがチームを去る。今後はアル・ホーフォードだけでなく、ジェイレン・ブラウンとジェイソン・テイタムもリーダーシップを発揮していく必要が出てきそうだ。