ニック・ナース

候補者の中で実績で頭一つ抜けているナース

今シーズン、バックスは東カンファレンスの第1シードでプレーオフに臨んだが、ファーストラウンドで第8シードのヒートに1勝4敗と完敗を喫した。その後、ここ5シーズンでリーグ優勝1回に加え、レギュラーシーズン通算271勝120敗と7割近い勝率を残していた指揮官のマイク・ブーデンフォルツァーを解任している。

リーグ屈指の支配力を持つ大黒柱ヤニス・アデトクンボは健在で、来シーズンも優勝を狙える戦力を有しているバックスだけに、後任を誰が務めるのかは大きな注目を集めている。そんな中、『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー氏は、前ラプターズヘッドコーチのニック・ナース、元ネッツのヘッドコーチでウォリアーズのアシスタントコーチを務めるケニー・アトキンソン、ラプターズのアシスタントコーチを務めるエイドリアン・グリフィンの3名が最終候補に残ったと報じている。

候補者の中で、ナースは今シーズンまで5年間ラプターズの指揮官を務め2019年のNBA制覇、翌シーズンの最優秀コーチ賞、3度のプレーオフ進出と実績では頭一つ抜けている。アトキンソンはネッツ時代に、スター不在のチームをうまくまとめあげ2018-19シーズンにプレーオフに導いた実績が光る。グリフィンはこれまでナースを支えてきたが、ナース自身がグリフィンについて「NBAでヘッドコーチになるべき人物」と、その才能を高く評価している。

現在のNBAは指揮官交代が相次ぎ、バックス以外にもセブンティシクサーズ、ラプターズ、サンズ、ピストンズが新指揮官を探している状況だ。特にナースはバックス以外でも候補に上がっていると見られているため、バックスの指揮官が決まることで、他のチームの新ヘッドコーチ探しも一気に加速する可能性は大いにある。

また、『The Athletic』のシャムス・カラニア氏は、ラプターズが前ネッツのヘッドコーチであるスティーブ・ナッシュと面談を行う予定と伝えている。NBA史上に残る名ポイントガードとして活躍したナッシュは、コーチ経験がないまま2020-21シーズンにネッツの指揮官に就任し、2シーズン連続でチームをプレーオフに導いた。しかし、今シーズン早々に解任の憂き目にあっている。指導者として大きな成果を残したとはいえないナッシュだが、カナダバスケットボール界のレジェンドであり、その求心力はカナダを拠点とするラプターズにとって大きな魅力でもある。

プレーオフは佳境を迎えているが、新ヘッドコーチ選びも最終段階に入り、すでに来シーズンへの戦いは始まっている。