クロニンGM「私たちは今勝利を目指しているチーム」

先日、行われたNBAドラフトロッタリーの抽選会でトレイルブレイザーズは全体3位指名権を獲得した。今年の候補生を見ると全体1位を獲得したスパーズが、ビクター・ウェンバニャマを指名するのは間違いない。ウェンバニャマの評価が頭抜けている一方、2位に関してはアラバマ大1年のスモールフォワードであるブランドン・ミラー、Gリーグのイグナイトに所属する司令塔スクート・ヘンダーソンが有力候補と評されている。

そのためブレイザーズが全体3位で選択するのはミラーとヘンダーソンの内、2位指名権を持つホーネッツが選択しなかった選手が濃厚だ。ただ、ブレイザーズの場合、他の上位指名権を持つチームと違いデイミアン・リラードという確固たる大黒柱がいる。そして来シーズンについてリラードはすでに、「もう19歳の選手は十分だ。これ以上の加入には興味がない」と言い、高卒後1年目でドラフトエントリーする若手を新たに主力起用する方針には否定的な意見を述べていた。

ちなみにミラー、ヘンダーソンは、まさにリラードが言及する高卒1年目でエントリーする選手となる。もちろん2人ともに、将来チームの中心選手となり得る高いポテンシャルを持ったダイヤの原石だが、ウェンバニャマのような20年、30年に1人の逸材ではないという評価が一般的だ。リラードにしてみれば、チームに必要な若手は今月30日に20歳となり、シーズン中に評価を上げていったシェルドン・シャープのみでいいということだろう。

このリラードの考えを、ブレイザーズの首脳陣は十分に理解している。だからこそジョー・クロニンGMは『Yahoo Sports』の取材で、3位指名権をトレードで放出する可能性を示唆した。「私たちは今勝利を目指しているチームであり、デイミアンの残されたキャリアの時間を最大限に生かそうとしている。ドラフトロッタリーは我々にとって重要な夜だった。各チームのフロントオフィスは、今年のドラフト組を高く評価している。これから指名権の順位を上げようとしている多くのチームから連絡を受けるだろうね」

今オフ、ブレイザーズはフリーエージェントとなるジェレミー・グラントの引き留めが最優先事項となる。その上で、リラードの要求する上位進出を狙える競争力を持ったチームになるには、複数の即戦力を獲得する必要がある。ドラフトはポテンシャル重視で19歳、20歳の若手が優先的に指名される傾向が強いが、一方で将来のエース候補とはいかなくても、大学3年、4年までプレーした即戦力ルーキーとして期待できる選手は15位以降でも獲得できる可能性が高い。

こういった背景を踏まえると、ブレイザーズとしてはドラフト3位指名権を使ってのトレードで先発になれる実績十分な選手と、この指名権で大学3年、4年までプレーした成熟した選手を指名するのが理想的なシナリオかもしれない。