アイザック・フォトゥ

前日に逆転負けを喫した宇都宮が終始圧倒してリベンジ

4月16日、群馬クレインサンダーズvs宇都宮ブレックスの第2戦が開催された。序盤から群馬のオフェンスを封じた宇都宮が終始主導権を握り、82-57で勝利して前日のリベンジを果たした。

序盤、ターンオーバーやシュートミスが続きリズムがつかめない群馬に対して、宇都宮はワイドオープンを作り出し、着実に得点を重ねる。インサイドを固めて群馬の果敢なアタックを防ぎタフショットを打たせることに成功すると、セカンドユニットの竹内公輔や高島紳司が要所で得点を決め、クォーター終盤には点差を2桁に広げた。さらに前線から激しくプレッシャーをかけてトラベリングを誘うと、残り12秒には渡邉裕規が3ポイントシュートを成功させて、完全に流れを引き寄せた。

第2クォーター、先発メンバーに戻してきた群馬に対しても、宇都宮はフィールドゴール成功率を下げさせる堅いディフェンスで追い上げを許さない。特にアイザック・フォトゥがゴール下で奮闘し、攻守に渡り存在感を示した。オフィシャルタイムアウト後、群馬はマイケル・パーカーのスティールからトレイ・ジョーンズが得点するプレーで勢いに乗りかけたが、宇都宮も遠藤祐亮や鵤誠司が技ありのプレーで流れを渡さない。宇都宮はその後もターンオーバーを誘発し群馬のオフェンスを停滞させて、45-17と大量リードで後半を迎えた。

後半開始直後、宇都宮はグラント・ジェレットのアタックで、この試合最大となる30点差をつける。群馬はジョーンズが高確率でシュートを成功させて前半からの悪い流れを断ち切ろうとするが、宇都宮はパスを上手く回して的を絞らせないオフェンスを展開して、点差を詰めさせなかった。特にフォトゥとジェレットのポストアップからの力強いプレーは高確率で得点に繋がり、ペイント内の攻防を優位に進めた。比江島慎のバスケット・カウントも飛び出し、26点リードで最終クォーターへ。

その後も宇都宮はヤン・ジェミンがアグレッシブなアタックでバスケット・カウントを獲得し、竹内がリバウンドやディフェンスで奮闘するなどロールプレーヤーも光りセーフティリードを保った。残り14秒、荒谷裕秀が3ポイントシュートを成功させ、ロスター全員得点での完勝となった。

アイザック・フォトゥ

「チーム全体でスコットの穴を埋めて勝っていく」

第1戦の宇都宮は前半に13点リードしながらも第3クォーターに逆転されて敗れた。第2戦に向けてチームとして修正をしてきたが、戦術を遂行した以上にファイトした選手全員を佐々宜央ヘッドコーチは評価している。「フォトゥもジェレットも満身創痍の中、みんながファンに1勝を届けたいと必死にやって、チームで戦えていることを誇りに思います」

この試合でチームハイの20得点を挙げたフォトゥも気持ちが勝利をもたらしたと振り返る。「昨日の後半にひどいやられ方をして、厳しい敗戦になってしまったので、全員がアグレッシブに戦って素晴らしい勝利になりました。今節、群馬は新しいアリーナの柿落としということで必ず勝ちたいという気持ちでプレーしていたと思います。自分たちはそれを上回る強い気持ちを持って試合に臨み、勝利に繋げたチームを誇りに思います」

フォトゥはディフェンスでも何度も群馬の前に立ちはだかった。ブロックはなかったものの群馬をタフショットに追い込む身体を張ったプレーで確実にフィールドゴール成功率を下げさせた。フォトゥが「ジョーンズはピック&ロールからのオフェンスが素晴らしいので、そこを止めることが鍵でした。ジョーンズに限らずガードを前半に止めて良い流れに持っていけたのが勝因だったと思います」と振り返るように、前半をわずか17失点で終えたのはインサイド陣の踏ん張りがあったからと言っても過言ではないだろう。

宇都宮の大黒柱であるジョシュ・スコットが欠場となり、厳しい状況下にあるが、竹内はインサイド陣には共通の思いがあったと話す。「ここで2連敗してしまうとスコットに責任を感じさせてしまうと思いました。ビッグマン2人も同じ気持ちだったと思います」

フォトゥも「スコットはこのチームの中で、オフェンスでもディフェンスでもリバウンドでも大きな存在であることは周知の事実です。その穴を埋めるという意味でも全員がステップアップし、インサイドでは竹内やジェレットが素晴らしい活躍をしてくれました」と、同じ立場にあったビッグマンを労う。

宇都宮はBリーグ開幕以後に毎シーズン進出していた、チャンピオンシップの道が途絶えた。特に昨シーズンチャンピオンに輝いた宇都宮にすれば、ショックが大きかったことは想像に難くない。しかし「チーム全体でスコットの穴を埋めて勝っていくことにフォーカスできました」と語ったフォトゥから憂いは感じられなかった。この試合でもチームやファン、そして自分のために戦い抜く姿を見せてくれたフォトゥは、残り7試合も変わらず気持ちの入ったプレーを見せてくれるに違いない。