ラッセル・ウエストブルック

「僕が最高の自分でいられるよう、みんなサポートしてくれた」

クリッパーズはポール・ジョージが膝を痛めて戦線離脱しており、カワイ・レナードが個人的な理由で欠場。グリズリーズはバック・トゥ・バックの2試合目でデズモンド・ベインとジャレン・ジャクソンJr.が欠場と、どちらも万全の状況ではなかったが、プレーオフを見据えて負けられない一戦であることに変わりはない。

それでもジャ・モラントが先発するグリズリーズに対し、2人のエースをいずれも欠くクリッパーズは戦力が足りないように見えた。実際、試合開始5分でグリズリーズが2桁の点差を付けている。しかし、ここからクリッパーズはエース不在を感じさせない戦いぶりを見せて接戦に持ち込み、122-122の同点で迎えた第4クォーター残り7分から9-0のランで突き放し、141-132と快勝した。

この試合でまばゆいばかりのパフォーマンスを見せたのは、ラッセル・ウェストブルックだ。36分の出場で36得点4リバウンド10アシストを記録。苦手のはずの3ポイントシュートを5本放ってすべて沈め、第4クォーターのラスト6分半で9得点を挙げ、シーズン終盤の貴重な1勝をクリッパーズにもたらした。

レイカーズでは持ち前の果敢な姿勢が空回りし、戦犯扱いをされてシーズン途中に放出された彼は、クリッパーズで先発に返り咲き、自信を取り戻しつつあった。ジョージもカワイも不在の状況でファーストオプションとなった彼は、自らの実力がまだ錆び付いていないことを内容でも結果でも示した。

それでも試合後の彼は、いつもと変わらぬ気持ちでプレーしたと言う。「自分がチームのために何をやるかは試合ごとで変わるかもしれないけど、僕のアプローチは変わらない。常に感謝の気持ちを持ち、このチャンスは当たり前のことじゃないと思って全力で戦う。この舞台でプレーできる自分は恵まれていて、勝つために何でもするという気持ちなんだ」

活躍できた理由も「チームメート同士で信頼し合っていること」と語る。「僕が最高の自分でいられるよう、みんなサポートしてくれた。試合に出られることにも、そのことにも感謝しているんだ」

序盤の劣勢にも動揺せず、その彼の姿勢がチームを立ち直らせた。「相手チームが良いスタートを切っても慌てなかった。大事なのはチーム全体でどう反応するか。そのきっかけを作るリーダーシップが自分の仕事だけど、みんなすぐに反応してくれて、その後は試合をコントロールすることができた。これはチームにとって大きな成長の証だと思う」

シーズン残り数試合という局面でも西カンファレンスはいまだ大混戦。クリッパーズは41勝36敗で5位をキープしているが、4位のサンズが落ちてきたことで差は0.5ゲーム。プレーオフのファーストラウンドをホームゲームから始められるチャンスが目の前にある。ウェストブルックは「大混戦だけど、自分たちの仕事をしっかりこなすことで、運命は自分たちで決められる」と言う。

「次の試合に向けてまた集中するよ。まだ多くのゲームが残っているけど、僕らが勝ち続けることが何より重要だからね」

レギュラーシーズンは残り5試合。チームのコンディションは必ずしも良くないが、ウェストブルックはそれを補うエネルギーを発揮してくれそうだ。