「今シーズンは83試合でプレーできるかもしれない」
サンズからネッツにトレードされたミケル・ブリッジズは、現地2月10日のセブンティシクサーズ戦で新天地でのデビューを飾った。試合はネッツが長くリードを守るも、土壇場でひっくり返されての惜敗。それでも、スタメンのうち4人がトレード組、12人ローテで戦う新生ネッツは、ケビン・デュラントのようなスター選手が不在でもタフに賢く戦えるというインパクトを残した。
ブリッジズはジェームズ・ハーデンのマークを担当しながらしながら、34分のプレーで23得点6リバウンドを記録。試合前のメディア対応で「自分の家を離れるのは寂しいし、友人と離れるのも寂しい。でも僕だって、KD(デュラント)が手に入るならトレードを選ぶよ。実際、彼とトレードされたのは誇るべきことだ」と語っていたブリッジズは、「移籍しても前と同じようにアグレッシブにプレーしたい」という言葉通りのパフォーマンスを見せた。
敗戦の後でもブリッジズの表情は明るく「楽しかった。本当に楽しかった」と語る。「僕らはみんな初めてプレーしたけど、ディフェンスはすごく良かった。(ジョエル)エンビードにゴール下を支配されて、フリースローを与えすぎたけど(エンビードは37得点、フリースロー13本中12本成功)、でも全体的には良かったと思う。あとは勝つだけだったんだ」
第4クォーター残り2秒には、決めれば逆転のレイアップを放つも体勢が崩れていて決められなかった。勝敗を決するシュートを外した場面について彼は「上手くいったと思ったんだ。惜しいチャンスを外してしまったけど、それも人生の一部だし、僕としては次のチャンスに備えることを考えたい」と言う。
ただ、残り2秒で彼が外したレイアップだけでなく、クラッチタイムの得点力不足が顕著な新生ネッツでもあった。第4クォーター残り7分を切ったところでキャム・トーマスが難しいプルアップを決めて96-87とし、この時点で9点リードとシクサーズを追い詰めていたのだが、ここから打てども打てどもシュートが決まらず、約7分で決まったのはスペンサー・ディンウィディーのダンクによる2点のみ。デュラントとカイリー・アービング、クラッチタイムを託すスーパースターを失ったマイナスが顕著に出てしまった。
それでも、98-101で迎えた最後の瞬間には、ディンウィディーのハーフコートショットが決まり、延長に持ち込んでいたはずだった。ただ、ボールが手を離れるより一瞬早くクロックがゼロになっており、得点は認められず。「レイアップを失敗した僕を神が救ってくれた、よしオーバータイムで決着を付けよう、と思ったよ」と彼は振り返る。「でも、仕方ない。チャンスはまだあるよ」
新たなメンバーで良い戦いができたのに、肝心の勝利を逃したのは残念だったが、ブリッジズには一つラッキーな出来事があった。2018-19シーズンのNBAデビューから5年目の今まで続けてきた全試合出場が途切れなかったのだ。トレードが決まった直後のブルズ戦ではプレーしなかったが、登録が間に合っていないために欠場にはカウントされない。
この時、サンズから一緒に移籍して来て隣で試合を観戦していたキャメロン・ジョンソンは、初の欠場に落ち込むブリッジズを励ましたそうだ。それでも結局、欠場扱いにはならずに済んだ。むしろサンズはネッツより1試合多く試合を消化しており、ブリッジズはここまでサンズで56試合、ネッツで1試合に出場したが、ネッツはまだ26試合を残している。ブリッジズは「ということは……」と満面の笑みでこう続けた。「今シーズンは83試合でプレーできるかもしれない。ちょっとしたボーナスだね!」