ターナーは飛躍のシーズンを送るも、チームはハリバートン不在で1勝10敗
マイルズ・ターナーとペイサーズは、2年5800万ドル(約75億円)の契約延長に合意した。
2015年のNBAドラフト1巡目11位でペイサーズに加わったターナーは、ルーキーシーズンから主力として活躍し、8年目を迎えている。スピードと柔軟性のあるセンターである彼と、バスケIQと器用さを持つドマンタス・サボニスとのコンビはペイサーズの将来を支える存在として期待された。
ところが、2人の順調なステップアップとは裏腹にチームは成長の限界を示す。ターナーがデビューした2015-16シーズンから、常にプレーオフに進出するもファーストラウンド止まり。東カンファレンスのキャバリアーズ全盛期が終わった後もこの壁を乗り越えられず、昨シーズン途中にサボニスを放出して、ターナーとのコンビは解消となった。
ペイサーズはサボニスとのトレードで獲得したタイリース・ハリバートンを軸にチームを再建することになったが、そのチーム構想にターナーが含まれているのかどうかは明確でなく、常にトレードの噂が付きまとった。それでも、サボニスとはプレースタイルが異なるとはいえ互いの動きが重ならないよう気を配る必要があったが、今はシンプルに自分の持ち味を発揮すればよくなった。
その結果、昨シーズンは12.9だった得点が17.5へと延び、7.9リバウンドもキャリアハイの数字。過去のキャリアで1試合で得点が30を超えたことは4回しかなかったが、今シーズンはすでに4回記録している。責任が増した分だけ活躍の度合いが増しており、まだ26歳で伸びしろも残している。トレードで彼を欲しいとされるチームは多くても、ペイサーズとしても簡単には手放せない戦力だった。
今回の契約延長では、NBAでは滅多に起こらない今シーズンの昇給があった。契約最終年の今シーズンの年俸は1800万ドルだったが、これが3500万ドルへと引き上げられ、来シーズンは2090万ドル、2024-25シーズンは1990万ドルの年俸を受け取る。ペイサーズとしては、サラリーキャップを余らせている今シーズンにより多くの年俸を支払い、以後2シーズンはサラリーキャップに余裕が出ることになる。特に2024年はハリバートンのルーキー契約が切れるタイミングで、マックスかそれに近い契約を結ぶ見込みのため、ここで余裕があれば次なる動きが取りやすい。
いまだ2月9日のトレードデッドラインまでにターナーがトレードされる可能性はあるが、今回の契約延長はトレードではなく残留が前提の判断だろう。今シーズンの大幅な年棒増は、このタイミングでターナーを獲得しようとするほとんどのチームが尻込みするもの。今回の契約更新は、ペイサーズとターナーが少なくとも来シーズンまでは一緒に歩むという意思表示だと思われる。
ターナーとしては2025年まで大きな収入が確約されることに加え、自分の市場価値を高めて次回に大きな契約を狙うモチベーションが生まれる。常にトレードの可能性が取り沙汰されていた彼にとって、ペイサーズでのプレーに集中できるメリットは計り知れない。
肘を痛めたハリバートンの欠場が半月に及び、その間のペイサーズは1勝10敗と急失速。現地1月29日のグリズリーズ戦も前半に最大19点のリードを奪いながら後半早々に逆転を許し、そのまま押し返せず100-112での敗戦と実力差を見せ付けられた。今は厳しい戦いが続くものの、これも将来に向けたステップ。ターナーの契約更新がペイサーズの雰囲気を良いものに変えることに期待したい。