カットプレーから得点を量産「あそこまで上手くいったのはびっくり」
11月30日、秋田ノーザンハピネッツはアルバルク東京に83-69で勝利し、連勝を3に伸ばした。
秋田は序盤から連携プレーが冴えわたり、17得点を挙げた古川孝敏を筆頭としたウイングプレーヤーがバックカットからイージーなレイアップを連発したことで主導権を握った。古川も「すごく簡単に点が取れたので、あそこまで上手くいったのはびっくりな部分もある」としながらも、チームの連動性の向上を実感している。
「個人としての駆け引きの中でああいったプレーが多く生まれましたが、スティーブ(ザック)はパスがうまくて練習中から狙っているプレーでもあるので、良い連携だったと思います。パスを出してくれるスティーブもそうですけど、他の選手が良いスペーシングを取ってくれるからこそペイントの中が空いてきます。カッティングをして点を取ったのは僕ですけど、チームとして作り上げられた中でのプレーですね」
秋田はカッティングプレーだけでなく、確実にスクリーンをヒットさせてズレを作り、フィニッシャーとなる選手が優位な状況を多く作り出した。田口成浩が日本人選手トップとなる20得点を挙げたが、それは共通理解を持ち、ハーフコートオフェンスの精度が高かったからこそと言える。田口はここまで平均13.7得点、3ポイントシュート成功率45.1%と好調なシーズンを送っているが、古川の存在が自身の好パフォーマンスに影響していると語っていた。そして、古川も田口への信頼を口にした。「毎回点を取ってくれて、エナジーを持ってやっていて、チームに勢いを与えてくれます。チーム全体を見た時に相手を崩してくれるので助かります」
外国籍選手の得点力が目立つ現在のBリーグにおいて、日本人選手がリーディングスコアラーになるチームは稀だ。この試合ではチームプレーが機能し、相手に的を絞らせなかったこともあり、古川と田口の2人で合計37得点を奪った。古川もこの形に手応えを感じている。「自分が彼のためにスペースを作ることも大事ですし、彼が当たってくればディフェンスも彼に寄って自分が空いてくるので、そこはバランス良くやれています。お互いに良い時と悪い時の感覚は通じ合っているので簡単にプレーできますし、信頼しています」
「全員が同じイメージを持ち始めてきた」
この試合は何度も1点差に迫られながらも我慢し、逆転を許さずに最終クォーターに突き放す展開となった。強豪のA東京を相手にこうした『強い』勝ち方ができたことは、何よりも自信に繋がるはずだが、古川は現状に満足しない。
「ずっと1桁で離せず微妙な点差が続いていた中で、我慢して最後に離せて勝てたことはかなり大きいです。ただ、満足したくないというのが正直あります。在籍4年目ですけど、今まで感じてきたことがあって、ここからちゃんと積み重ねていかないといけないと感じているので、すごくうれしいですけど、気を引き締めて次に繋げていきたい」
古川が慢心しないのは、安定感に欠き、強豪と戦える力があっても取りこぼすことの多かった過去を知っているからこそ。「良い時も悪い時も自分たちが戻ってこれる場所は何なのか。悪い時に落ち着いてやれるポイントは何かというところで、全員が同じイメージを持ち始めてきた。でも、それが最低限のラインだと思っています」
どこまでも自分やチームに厳しい古川だが、クラブ史上最多となる4951名の観客に今シーズン初めてのホームでの勝利をもたらすことができ「何よりもホームで勝てたのがうれしいです」と、笑顔を見せた。これからタフなスケジュールが続いていくが、この期間で順調に積み上げが進めば、古川の笑顔が見れる回数も増えていくはずだ。