ゲームコントロールに重きを置き、ペイサーズの快進撃を演出
NBA第5週の週間MVPに選ばれたのは、1年前までチームメートだったディアロン・フォックスとタイリース・ハリバートンでした。開幕から1勝4敗と苦しんだものの、以降は9勝2敗と全く同じペースで勝率をあげたキングスとペイサーズから選ばれた形ですが、昨シーズンはともに苦しいチーム事情の中でトレードに踏み切った両チームが、揃ってチームの変革に成功したシーズン序盤となりました。
ペイサーズの新たなエースとなったハリバートンは、個人としては開幕から好調で、見事なドライブで切り崩し、得点も奪えばアシストも量産していました。しかし、チームが勝てない中で徐々にプレースタイルを変え、ドライブの回数を減らし、トップの位置から正確な3ポイントシュートと長短入り混じったパスを使ってゲームコントロールに重きを置くようになりました。ここからペイサーズの快進撃が始まったのです。
ハリバートンが一歩引いたことに加えて、相棒には同じポイントガードタイプのアンドリュー・ネムハードが収まり、ペイサーズのオフェンスは2人のガードが周囲を生かす形になりました。これでシューターのバディ・ヒールドが自由に動き回るスペースが広がり、ベンチからはベネディクト・マサリンが切れ味鋭いドライブと積極的な3ポイントシュートで得点を量産し始めたのです。
また、マイルズ・ターナーがペイント内のスペースに上手く飛び込み、ハリバートンの長めのパスをリングに押し込みます。サボニス時代はストレッチ役だったターナーにとっては、久々に自分がスペースを使う立場に戻り、キャリアハイの17.5得点とフィールドゴール成功率53%を記録しています。
当初はエースとして自分自身のアタックからオフェンスを作っていたハリバートンですが、チームメートにスペースを与え、様々なパスを的確に供給することで、ペイサーズはリーグ屈指のバランスアタックを誇るチームになりました。まるで、昨シーズンのフォックスを生かす形に戻ったプレーで、チームとして上手く回っているのです。
フォックスとハリバートンはともに優れたポイントガードですが、その2人を並べれば上手くいくわけではないし、同じようなプレースタイルでもチームメートとの噛み合わせ次第で全く違う結果が生まれています。違う道へ進んだことで調子を上げたフォックスとハリバートン、このままのペースを維持すれば、オールスターで同じチームでプレーすることになりそうです。