ジェレミー・グラント

最後のオフェンスであえてリラードを使わず「それが正解だ」

トレイルブレイザーズはレイカーズ相手に、終盤に11-2のランで逆転する劇的な勝利を挙げた。

第4クォーター残り2分を切ったところで、レブロン・ジェームズがアンファニー・サイモンズのミスマッチを逃さず左コーナーからドライブを仕掛ける。そのタイミングでアンソニー・デイビスはゴール下から外へと移動し、リムプロテクトの役割を担うユスフ・ヌルキッチを引っ張り出していた。レブロンはいとも簡単にレイアップを沈めて、102-95とリードを広げる。レイカーズの今シーズン初勝利が決まったかに思えた。

ところが、突然にして試合の流れはブレイザーズに傾く。リラードがフリースローを2本決め、ジェレミー・グラントはダンクを失敗するも、そのボールを拾ったヌルキッチが押し込み、サイモンズが得意技になりつつあるトップスピードでのフックシュートを決めて一気に1点差に詰め寄る。

一方でレイカーズは、ラッセル・ウェストブルックが簡単に放ったミドルジャンパーが外れて、観客が頭を抱える。スクリーンを掛けにきたヌルキッチにパトリック・ベバリーが突き飛ばされてオフェンスファウルがコールされるも、チャレンジの結果、ベバリーのフロッピングへと判定が覆った。

ブレイザーズのボールで試合は再開し、すぐにリラードが3ポイントシュートでリングを射抜き、ブレイザーズが104-102と逆転に成功する。

レブロンのダンクで一度は同点とされたが、残り7.7秒からグラントがレブロンをスピードで抜き去り、ヘルプに戻るデイビスより一瞬早くゴール下のシュートを沈めた。クラッチタイムを11-2と走ったブレイザーズが見事な逆転勝利、そして開幕3連勝を飾っている。

「僕たちはタフであきらめない、そしてお互いの信頼関係が強みになっている」とリラードは言う。ブレイザーズのエースは2試合連続で41得点と絶好調だが、先のサンズ戦ではサイモンズ、今回はグラントと、接戦を勝ちきる大事な得点はリラードが囮となり、他の選手が決めている。

リラードによれば最後のシーンは、グラントのスクリーンを受けて彼がボールを持つはずだった。しかしパスを入れるジャスティス・ウィンズロウは、ベバリーが執拗に追うリラードではなくグラントを選択した。「それが正解だ」とリラードは言う。「僕はその直前にビッグショットを決めたばかりでマークが厳しかった。それでジェレミーにスペースができた」

ディフェンスに難はあれど、ブレイザーズはオフェンスで押し切る実力を持っている。リラードの『デイム・タイム』はどのチームにとっても脅威だったが、リラード以外にも有効なオプションが複数あるというのは真の脅威だ。