ジョン・ウォール

開幕戦で545日ぶりの公式戦出場、15得点で勝利に貢献

ジョン・ウォールは今シーズン開幕をクリッパーズのベンチでスタートさせた。ライバルのレイカーズと当たる開幕戦とあって、彼の復帰にはさほどスポットライトが当たらなかったが、彼自身が「チームを勝たせるために僕が毎試合バットマンになる必要はない」と語っており、何もかもを背負ったウィザーズ時代と違い、カワイ・レナードとポール・ジョージをサポートする役割を受け入れている。

2018-19シーズン途中に左かかとの手術を行った後、自宅で転倒して左足のアキレス腱を断裂するアクシデントに見舞われて長期欠場を強いられ、復帰が見えてきたところでウィザーズ首脳陣と衝突してトレードされた。新天地ロケッツには馴染めず、若手起用を優先するチームではプレーしないことを選択。契約を破棄してクリッパーズで出直すことになった。

こうして迎えた今シーズン開幕戦、ウォールは25分の出場で15得点4リバウンド3アシストを記録した。最もインパクトを与えたプレーは第3クォーター残り1分すぎ、レブロン・ジェームズが叩き込んだ豪快なダンクでレイカーズファンが総立ちとなったところで、落ち着いて決めたミドルジャンパーだ。反撃の機運を瞬時に断ち切るこの得点を決めると、手の平を下に向けるジェスチャーで「もう座れ」という意思表示。結果、クリッパーズはこの試合に103-97で勝利している。

ウォールにとっては545日ぶりの公式戦出場。コートに入る前のトンネルで「ちょっと戸惑ってしまった」と笑う。「でもこの日のために準備をしてきた。コートに出た後は本当に良い気分でプレーを楽しんだ。まだ連携は十分とは言えないけど、まずはディフェンスでハードワークするところから始めるよ。そうやって調子をつかんでいくつもりだ」

クリッパーズでの新しいプレースタイルを、ウォールはこう語る。「まずはボールをプッシュしてペースを上げる。ファストブレイクが出せなければ、セットオフェンスで主役になるのはカワイとジョージだ。今は彼らとコミュニケーションを取り、どの場所でどんなプレーをするのが得意なのかを見極めているところで、僕は彼らの望むところにボールを運ぶよ」

コロナ禍の2年半はケガでほとんどプレーできず、チームとの関係をこじらせ、母と祖母を相次いで亡くす暗黒期だった。それでもウォールはこれを乗り越え、キャリアを正しい位置へと戻そうとしている。