文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

チームの浮沈を決したキーマンの『セルフコントロール』

10勝6敗で西地区2位につける名古屋ダイヤモンドドルフィンズと3勝13敗で最下位に沈む滋賀レイクスターズの一戦は、両チームとも退場選手を出す珍しい展開に。戦力が欠けてもプレーの質を落とさなかった滋賀が名古屋を退けた。

前半は一進一退の攻防が繰り広げられる。滋賀はジュリアン・マブンガを中心としたオフェンスで着実に得点を重ね、対する名古屋は張本天傑、中東泰斗が効果的にアウトサイドシュートを沈めていく。

34-36と2点ビハインドで第3クォーターに入った滋賀は、田中大地のアグレッシブなディフェンスやリバウンドで流れを引き寄せ、逆転に成功。パスがよく回り、狩野祐介の3ポイントシュートが決まって52-46とリードを広げる。

しかし、残り3分のところでアクシデントに見舞われる。3ファウルのファイ・サンバがファウルをコールされ4ファウルとなってしまう。さらに納得のいかないファイは怒りの感情を表してしまい、テクニカルファウルをコールされて退場となってしまった。

サンバの退場というアクシデントに対し、代わって入った樋口大倫の奮闘、さらにはマブンガの連続3ポイントシュートで大崩れしなかった滋賀。それでも第4クォーターに入ると、2-9のランを浴びて名古屋に逆転を許す。

名古屋のこの9得点のうち7点はジャスティン・バーレルが挙げたもの。ただ、その名古屋の大黒柱が残り6分10秒に退場してしまう。ファイと同様、4つ目の個人ファウルの判定に激高し、テクニカルファウルをコールされて退場となった。

ホーム初陣の並里が『苦手の終盤』にチームを牽引

チームトップの22得点を挙げていたバーレルの退場でリズムを崩す名古屋に対し、滋賀はシュートファウルとテクニカルファウルで獲得したフリースロー3本で65-64と逆転に成功。さらにこのポゼッションで流れるようなパス回しから、狩野が3ポイントシュートを沈めて完全にペースを握った。

滋賀はこれまで、追われる時間帯にマブンガ頼みのオフェンスに偏りバランスを崩すことが多かったが、先日加入した並里成がチームに安定感と積極性をもたらし、終盤の時間帯を牽引する。残り45秒、並里が自らジャンプショットを沈め8点差に。その後の時間をうまく乗り切った滋賀が、81-74で初の連勝をモノにした。

マブンガがゲームハイの26得点を記録。本人曰く「調子が悪かった」との並里だが9得点8アシストを記録し、終盤の大事な時間帯に輝きを見せた。「最低限、ゲームは作れたと思います。前半はあまり乗り切れなかったので、後半はシュートを打ち切ろうという強い気持ちで臨みました」と試合を振り返る。

敗れた名古屋はバーレルが22得点12リバウンドのダブル・ダブルを記録。張本が17得点、中東が16得点と続いたが、バーレル不在となったラスト6分10秒で10得点と失速した。

ファイの退場を乗り切り、バーレルの退場から総攻撃を仕掛け見事に勝利した滋賀。『並里効果』で初の連勝をマークし、これからの巻き返しに期待が持てる。