渡嘉敷来夢

今大会1試合平均、わずか4本のフィールドゴール試投数に留まる

女子ワールドカップ2022でバスケ日本代表はフランスに53-67で敗れ、通算1勝3敗となった。そして今日のグループリーグ最終戦を前に決勝トーナメント進出を逃している。この試合、渡嘉敷来夢は機動力と身体を張ったディフェンスで6リバウンドをマークするなど奮闘した。しかし、オフェンス面では宮崎早織とのENEOSラインによるコンビプレーは光ったものの5得点に留まった。

2月に大阪で行われたワールドカップ最終予選終了後、渡嘉敷が代表に合流したのは7月の第3次強化合宿になってから。他の選手と比べても恩塚享ヘッドコーチが目指す戦術に馴染む時間が少なかったことが影響しているのか、今大会はオフェンスで思うように絡むことができていない。タイムシェアの影響により1試合で約20分のプレータイムであることは考慮すべきだが、ここまで4試合で平均4.0得点に留まっている。何よりもフィールドゴール試投が平均4.0本のみと、そもそもシュートを打てていない。

チームトップのサイズを生かしたインサイドアタックに加え、外角シュートにも磨きをかけた渡嘉敷は、今大会の代表においても頼りになる攻撃オプションになると見られていた。敗れた3試合とも64点、56点、53点とそれぞれロースコアに終わった要因の一つに、チームが彼女を生かしてきれていないところもあるだろう。

フランス戦終了後、渡嘉敷はシュートについて聞かれ次のように答えた。「自分に自信がないわけではなく、もっとできると思っていますが、数少ない中で1回あった自分のプレーでパスミスをしてしまいました。あそこは行くべきなのか、外なのか、迷いながら始めたプレーで良くなかったです。少ないチャンスをモノにしないと世界では勝てないのでやります」

渡嘉敷来夢

「パスが来なくてもシュートが入らなくてもディフェンスは絶対にブレてはいけない」

オフェンス面でチーム戦術にフィットしきれていない部分は否めない渡嘉敷だが、ベテランとしてリーダーシップを発揮するなど、様々な面でチームを助けているのは間違いない。

「リーダーシップは意識してやろうと決めています。セルビア戦、カナダ戦の負けでチーム内がちょっと落ち気味でしたが、若い選手たちには思い切ってやってほしいので声をかけ続けています。自分の経験を伝えていくことも役割ですし、自分もしっかりしたプレーを見せていきたいので、まずはディフェンスから頑張っていきました」

こう語る渡嘉敷は、大会を通して堅実なプレーを見せているディフェンスについて「パスが来なくてもシュートが入らなくてもディフェンスは絶対にブレてはいけない」とプライドを見せる。ただ、「そういった部分で少しでもチームに貢献できたらと思いますが、負けたら意味ないです」と悔しさを隠さない。

今回、最終戦を前にグループリーグ敗退が決まったことで、日本と世界トップレベルの距離が再び開いてしまったとのではないかと危惧する声は少なくない。だが、フランスとの差について聞かれた渡嘉敷は「いやぁ、難しいです」と語るとともに、「でも差はないと思っています。あとはやりようだと思います。周りから差があると言われたとしても、自分はそうは感じないです」と続ける。

今夜、日本にとってワールドカップ最終戦となるオーストラリア戦が行われる。ここで渡嘉敷の語る「やりよう」を少しでも見いだすことは必要であり、何よりも彼女自身がもっとオフェンスに絡める状況をチームとして作り出してもらいたい。