文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

ウィラードが立ち上がりからファウルトラブルの大ピンチ

横浜ビー・コルセアーズと富山グラウジーズの第2戦は、40分で決着がつかず延長戦へ突入する熱戦となった。

立ち上がり、富山のサム・ウィラードが連続でファウルを犯す。ここで判定に不満気な態度を取ったウィラードにテクニカルファウルがコールされ、開始3分で個人ファウル3つとなる緊急事態となった。

この状況に奮起したのが宇都直輝だ。素早いトランジションから自らも積極的にリングへとアタックし、攻撃を牽引。オン・ザ・コート「1」の時間帯に大きくパフォーマンスを落とすことが課題の富山だが、この試合ではアップテンポな展開で乗り切り、21-14とリードを奪った。

第2クォーターに入ると横浜のオフェンスに動きが出てくる。スクリーンを効果的に使いフリーを作る川村卓也に9得点を奪われるも、34-30とリードを保ち前半を終えた。

そして後半に入ると、一進一退の攻防は激しさを増してシーソーゲームとなる。

第4クォーター残り1分29秒、富山の城宝匡史が長い距離を走り、スクリーンを使ってパスを受けると、ディフェンスを背負いながらの難しいジャンプショットを沈め65-65の同点とする。

そこから両チームともアグレッシブなディフェンスでシュートチャンスを潰し合う展開に。残り24秒、横浜はジェフリー・パーマーが2本のフリースローを得るも、フリースロー成功率が約75%と決して苦手ではないにもかかわらず2本とも落としてしまう。これで逆転のチャンスを得た富山だが、横浜の鬼気迫るディフェンスを前にタフショットを強いられノーゴール。試合は延長戦へと突入した。

両チームが勝利への執念を見せた消耗戦の結末は

両チームともに選手層が厚いわけではない上に、連戦の2戦目。延長戦に入り消耗戦の様相は濃くなる一方だったが、それでも誰もが勝利への執念を見せ、激しく戦い続ける。ただ、シュートの精度は落ちてしまい、勝ち切る機会をモノにできない。

残り1分19秒の時点で、富山が72-69と3点リード。横浜は川村が3ポイントシュートを狙った際にファウルを受け、3本のフリースローを獲得するも1本を落として追い付くことができず。しかし富山も、そこからファウルゲームに持ち込まれた状況で、ウィラードがフリースローを4本中1本しか決められず、セーフティーリードを奪えない。

残り8秒からのラストチャンス、横浜はファイ・パプ月瑠が3ポイントシュートを強引に狙うも決められず、富山が何とか逃げ切った。

敗れた横浜の青木勇人ヘッドコーチは「チャンスはあったが勝ち切れなかったことが悔やまれる」とコメント。リバウンドの数はほぼ変わらないが、球際でマイボールにできなかったリバウンドの争いなど、数字に表れない部分が勝敗を分けた。

アシスタントコーチのボビー・ナッシュは「14連敗をしている中で、このような勝てる波がきた時に、しっかり乗れてよかった」と語り、「一人ひとりが試合の中でステップアップしたこと」を勝因に挙げた。宇都がペースを変え、嶋田がジャンプショットでつなぎ、ウィラードが我慢しながらプレーし、城宝が点を取る。全員が自分に与えられた役割を遂行したことで、接戦をモノにしたのだ。

富山は、選手もコーチも「良い練習ができている」と語るように、調子が上向きつつある。今回はバイウィークを活用してチームを立て直すことができた。勝利が決まった瞬間、富山からきた熱いブースターは選手以上に喜びを表していた。熱烈なファンとともにこれからの富山の巻き返しに期待したい。