保田義章

京都ハンナリーズは今夏、クラブ体制を変更。昨シーズンまでチームの中心を務めたデイヴィッド・サイモンが退団し、ヘッドコーチの小川伸也は千葉ジェッツへと移籍した。変革の時を迎えたこれからの京都を引っ張っていくのは、昨シーズンに得点、アシストを倍増させブレイクスルーを果たした久保田義章だ。久保田自身も「自分が核になると決めている」と、すでにチームを背負う覚悟はできている。

チャンピオンシップをテレビで見て「この場に立ちたいと強く思いました」

──チームの練習も始まり、開幕に向けてコンディションはいかがでしょう?

昨シーズンはケガ人が多く、特に後半戦はローテーションの人数が少ない中でやっていたこともあって身体にガタが来ていました。なので、8月前半くらいまではケアに専念していましたが、チームに帯同してワークアウトをして、対人練習もやったことで大分コンディションは上がってきました。9月に入るとプレシーズンも始まり、開幕に向けて心身ともに上がっている状況です。

──久保田選手はシーズン後半に先発に定着し、数字も伸ばしていたので、ケガをしているように思えなかったです。

3月のアウェーの富山(グラウジーズ)戦の2日前くらいの練習時に指を骨折しました。アシスタントコーチに富山戦からスタートで起用するという話を受けた直後で、支障は大分あったんですけど、左手の親指だったのでみんなも何とかなるでしょみたいな感じで気合いで何とかしました(笑)。試合中はアドレナリンが出ていますし、会場のBGMでも結構気が紛れるんですよ。やると決めたらとことんやるタイプなので。

──精神が肉体を凌駕するってやつですね。ちなみにクラブのツイッターでトレーニングの映像が公開され「生まれ変わった姿を見せる」と言っていましたが順調ですか?

身体が大きくなったと言われ、開幕に向けて体脂肪も絞っている状態なので、そういう意味で生まれ変わると言いました。今シーズンのオフは京都で大分休んで、地元の福岡に帰って大学で練習をしていましたが、実家のご飯って美味しいじゃないですか。太りやすい体質なので、毎日死ぬ思いでやっています(笑)。

──新シーズンの目標はどこに置いていますか?

チームとしてはリーグ制覇が目標ですが、僕個人としては有名になりたいとか一切ないんですよね。強いて挙げるとすれば、富樫(勇樹)選手と並里(成)選手を尊敬しているんですけど、彼らのようにBリーグの上位チームでプレーしているポイントガードには絶対負けたくないと思っています。彼らを超えられるような選手になりたいです。あとは、昨シーズンのチャンピオンシップをテレビで見ていたんですけど、ファイナルも含めて画面の前で見ている自分がすごく悔しくて、自分も絶対にこの場に立ちたいと強く思いましたね。

昨シーズンは試合を重ねることですごく自信がついてきました。チームメートからもお前はできるんだから自信を持ってやれって言われましたし、自分の中でもやればできるんだと思い始めました。それはスタッツにも表れていると思いますし、彼らのようなポイントガードに負けないというのも、叶わない目標ではないと思うので、自信を持ってやり続けたいです。

──自信を持ってプレーできるようになったきっかけはなんでしょう?

前ヘッドコーチの小川(伸也)さんからも、やればできるんだからやれという感じで言われていて、小川さんがずっとマンツーマンで話してくれました。最後の20試合くらいで先発に起用してもらったんですが、その20試合で信頼されていることをより実感できて、それも自分の力になったんじゃないかなと思います。僕は親が若くて、小川さんはお父さんの弟と同じくらいの年齢なんですよ。だから、叔父から言われているみたいな親近感があって、それも良かったのかもしれないです(笑)。

久保田義章

「チームを勝たせるか勝たせられないかということしか気にしたことがない」

──デイヴィッド・サイモン選手、ジャスティン・ハーパー選手と、特に活躍が目立った選手が退団し、外国籍選手が入れ替わりました。ポイントガードの久保田選手としてはどんな心境でしょう?

2人にボールを預ければ得点できるというか、少なからず安心感がありました。今回の外国籍選手はそういうタイプではなく、ハンドラータイプの選手もいるので僕がしっかりゲームメークをしたり、全員でボールを繋いで全員で得点するっていうスタイルになりそうです。

もしなれるなら、チームの核になった方がかっこいいじゃないですか。学生時代は自分がやらないといけない立場でしたし、やらなきゃいけないとまでは思わないですが、今シーズンは自分がやるというスタンスで行きますよ。

──昨シーズンは先発が増えたこともあり得点、アシストが倍増と飛躍しました。スタッツで意識しているところはありますか?

スタッツと言うよりも、富樫選手のような得点が取れるポイントガードだったり、並里選手のようなファンタジスタタイプの選手のほうが、小さな子供たちや見ている人は応援したくなると思います。彼らみたいになりたいと思ってBリーグに入ってきたので、スタッツはあまり気にしていないですけど、先ほども言ったように自分が核になると決めているので得点やアシストなど、ポイントガードが一番気にしないといけないスタッツはもっと増やせるようにしたいです。なのでワークアウトやチーム練習でも、そこらへんの技術を伸ばしていこうとはしています。

基本的にチームを勝たせるか勝たせられないかということしか気にしたことがないですが、昨年のチームはポゼッション多い時ほど試合を優位に運ぶことが多かったと思います。だからリバウンドや攻める回数などは気にしています。そこが僅差の試合で重要になってくるので。ただ、あまり数字を気にしないファンの方であれば2ポイント、3ポイントの成功率を見て、シュートが入っているから確率が良い、だから勝つんだねと理解をしてくれたら一番分かりやすいし、楽しめると思います。

──最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

昨シーズンは悔しい結果に終わりましたが、今シーズンは新しいハンナリーズが見れると思います。バスケットの内容も変わって、昨シーズンよりチーム自体も若くなっていますし、活きが良いというか。シーズン開幕から自分がチームを引っ張って核となるので、その姿を見に来てもらいたいですし、そういう姿を見せられるようにもっと仕上げていくので楽しみにしていてください!