カイル・ラウリー

ヒートに欠かせない選手だからこそ、ケガのリスクを心配

カイル・ラウリーは自身の評価を高めた思い入れのあるラプターズを離れ、昨シーズンにヒートへ移籍した。

ハードワークを大事にし強固なディフェンスを誇るヒートだが、オフェンスファウルを引き出す『チャージドローの達人』としても知られるラウリーの加入によって、カバーディフェンスが強化され、リーグ4位、東カンファレンス2位となる平均105.6失点に抑えた。

オフェンスファウルを誘発するには、相手の動きを先読みして瞬時にドライブコースを塞ぐ必要がある。また、接触は当然避けられず、コートに倒れこむことも必然的に多くなる。ラウリーは抜群のタイミングと位置取りで待ち構え、オフェンスファウルを奪ってきたが、オーバーリアクションで倒れるなど、所謂『フロッピング』を指摘されることも多々ある。

ヒートのレジェンド、ティム・ハーダウェイもラウリーにフロッピングをやめてほしいと願っている一人だ。ただ、それは汚いプレーをやめろということではなく、身体を気遣ってほしいという意味が込められている。

「彼は倒れるのを止める必要がある。だからケガをするんだ。俺はカイルが大好きだし、彼がコート上でやっていることが大好きだ。ただ、フロアで転び続ければケガをする。フロッピングは最低限やめるべきだ」

ハーダウェイが言うように、フロアに身体を投げ出し続ければ自ずとケガのリスクは増す。フロッピングが直接の原因ではないが、実際に昨シーズンのラウリーは左足首や右ヒジの負傷により、レギュラーシーズン19試合に欠場し、プレーオフでは右ハムストリングを痛め平均7.8得点に終わるなど不完全燃焼に終わった。身体に染みついたプレースタイルを変えることは難しいが、それでもなおケガのリスクを考えてプレーすることは必要だ。それが主力選手であればなおさら。ハーダウェイは言う。

「ヒートは君のようなポイントガードを必要としている。ベンチに座ってプレーしない君は必要ない。彼らはトロントでやっていたように、コート上で100%高いレベルでプレーする君が必要なんだ。フロアに倒れるのをやめれば、それができるはずさ」

ラウリーがこのアドバイスを素直に聞き入れ、プレースタイルを変更することはないだろう。それでも、レジェンドからの温かいエールは彼の心に響くはず。36歳、円熟味を増す彼のパフォーマンスがヒートの命運を握る。