「内容的にはOKだけど、ベストではない」
アルバルク東京は、週末に行われた川崎ブレイブサンダースとの上位対決に2試合とも20点差をつけ余裕の勝利を収めた。この圧勝劇の大きな立役者となったのがセンターのアレックス・カークだ。89-67だった20日は18得点7リバンドを挙げ、21日は66-46とロースコアの中で20得点。さらには11リバウンド3ブロックと攻守でゴール下を支配した。
A東京はリーグ随一の選手層を誇り、田中大貴、馬場雄大、竹内譲次といった日本代表の常連でも1試合平均25分前後とプレータイムをシェアしている。だが、カークはここまで開幕7試合のうち、21日の1試合を除いて30分以上プレーしている。また、ジャワッド・ウィリアムズとミルコ・ビエリツァは交互に試合登録されて出場しているが、カークは全試合で起用されている。
この2試合のカークは、冒頭のように見事なスタッツを残し、さらに21日の試合では第3クォーターに川崎の追い上げムードが高まった中で豪快なダンクを決めて悪い流れを断ち切るなど内容的にもインパクト大だった。
それでも自身のパフォーマンスに関して「内容的にはOKだけど、ベストではない。プレシーズンを経て良くなっているけど、引き続き改善していくだけだ」と謙虚さを失っていない。そこには「まだ川崎は(ニック)ファジーカスがケガから回復途中だし、新外国籍選手が2人加入している。彼らはもっと良くなっていく」と相手が万全の状態でない一方で、A東京は昨シーズンとメンバーはほぼ同じとチームの成熟度で優位だったからとの思いが強いからだ。
あくまで冷静な姿勢のカークであるが、そうは言っても「ホームで連勝することはとても大きな意味を持っている。川崎は同じカンファレンスでなくなったけど、強敵相手に2つ勝てたことは長い目で見て大きな助けとなる」と難敵を撃破できたことには満足している。
「チーム力をさらに高めていかなければいけない」
レギュラーレーション変更で帰化選手の重要度がより増す中、先週のシーホース三河戦、今回の川崎戦が示すように、帰化選手を擁する強豪を相手に、昨シーズンと同じくゴール下で相手と五分以上に渡り合っている。カークは言う。「僕たちには日本人でベストのビッグマンである譲次がいる。彼の存在は大きなアドバンテージだ」と竹内に絶大な信頼を寄せる。さらにカーク、竹内、ウィリアムズ、ビエリツァのインサイド陣について「僕たちはみんなスマートで、どうやってプレーすべきか分かっている。そして素晴らしい連携ができている」と自信を見せる。
これで開幕6勝1敗と、A東京は下馬評通りに確実に勝利を積み重ねている。昨シーズンからメンバーが代わらないことでチームとしての完成度は一日中の長があり、だからこそカークは貪欲にさらなる進化を求めることが必要と言う。
「ミルコ以外は同じメンバーであり、相手は僕たちについて新たなスカウティングをする必要はない。だからこそ、チーム力をさらに高めていかなければいけないし、新しいものも学んでいる」
そして「まだ、今はチームをより良くしている途中だ」とA東京も発展途上であることを強調する。名実ともにリーグ随一のビッグマンのこの姿勢はファンにとってはより頼もしく、相手にとってはこの上ない脅威となっている。