ロケッツ

機動力のあるビッグマンを揃え、ビッグラインナップも可能なロスターに

ロケッツはドラフト3位でジャバリ・スミスJr.を獲得しただけでなく、17位でタリ・イーソン、29位でタイタイ・ワシントンを指名し、ガード、ウイング、ビッグマンそれぞれに新戦力を加えました。昨年のドラフトでも1巡目でジョシュ・グリーン、アルファレン・シェングン、ウスマン・ガルバ、ジョシュ・クリストファーと4人を獲得しており、この2年間で各ポジションにバランスよく有望株を揃えました。ジェームス・ハーデンのトレードから大きく変わりながら、あっという間に再建のベースを作り上げたと言えます。

ビッグマンながらスピードがあるスミスはペリメーターも守れるディフェンダーで、リーグ最下位だったリバウンドでの貢献も大いに期待できます。個人技で得点を奪うタイプではないものの、3ポイントシュートの成功率も高く、攻守両面でインサイドでもアウトサイドでもプレーできる逸材として、新たな大黒柱になってくれるでしょう。プレーメイク能力の高いシェングンとはタイプが異なり、同時起用でも問題なく機能しそうなこともプラスに働きます。

パワーフォワードタイプのイーソンも同じくディフェンス力が高く、ガード相手にもハイプレッシャーをかけていくアグレッシブな選手です。ヘルプディフェンスにも優れスティールも多い反面、判断力には課題がありファウルが多いためシックスマンとして、チームに活力を与える役割が向いています。シュート力もあるため、様々な組み合わせで起用しやすいのも特徴で、流行の兆しを見せているビッグラインナップを実現してくれるかもしれません。

小柄なガードのワシントンはスピードのあるコンボガードタイプで、グリーンやクリストファーと似たようなプレースタイルになりそうです。明確なゲームメイカーを置くよりも、ガード陣がテンポ良くボールを動かし、それぞれがアタックしていくスタイルにハマりそうですが、ロケッツのオフェンス戦術は安定しておらず、どのような形で起用されるのか不安もあります。いずれにしてもスピード豊かなガードを並べ、ドライブで崩せばビッグマン達が様々な形でフィニッシュできるロスター構成になりました。

ガードには似たようなタイプの選手が並び、誰が出ても同じ戦い方ができそうな一方で、万能ながらタイプの違う選手が揃ったビッグマンはロケッツの大きな特徴になりそうです。選手の組み合わせによって変化をつけることができる上に、ディフェンス面でも細かい対応が可能になり、試合展開に応じた柔軟な選手起用を期待したくなります。

ロケッツはチームとしての約束事が足りず、個人の判断に任せている部分が多すぎて機能不全を起こしがちです。言い換えれば特定の戦術ではなく、個人の武器次第で異なった戦い方をしていくことになります。多彩な顔触れが揃ったことで様々な化学反応が期待されますが、まだまだ個人として改善すべき点が多いこともあり、多くの失敗を重ねながらチームとしての形を模索する1年になりそうです。