[CLOSE UP]田口成浩(秋田ノーザンハピネッツ)『心は熱く、頭はクール』に連敗ストップ「ものすごく大きい勝ち」

2016/11/08
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

闘志溢れるプレーでチームを鼓舞、仲間の積極性を引き出す

アルバルク東京との2連戦、初戦はこれまでにない完敗だったが、第2戦はチームとしても個人としても持ち味を存分に発揮してリベンジを成し遂げた。これで連敗ストップ。東地区最下位であることに変わりはないが、リーグ屈指の強豪チームに対し真っ向からぶつかり、力で押し切ったことは、自分たちのバスケットへの自信を取り戻すきっかけになるはずだ。

秋田の『シンボル』である田口成浩は、闘志を前面に押し出し、なおかつ最大限の集中を保って勢い任せにならず、まさに『心は熱く、頭はクールに』という戦いぶりでチームを引っ張った。試合後の田口は、当然ながら前日とは全く違う表情で会見場に現れた。「いやあ……もう……大変でした」と言いながらも、勝利を噛み締める喜びが顔に表れている。

「団結力じゃないですか」と勝利の要因を挙げた田口はこう続ける。「具体的に言うと、打つべきところで打つことがディフェンスにもつながっていましたし、確率の良いシュートにもつながったのかなと。昨日の違いはそこだと思います」

確かに、この日の秋田オフェンスは強気だった。わずかなスペースがあればそこに切り込み、タフショットでも果敢に狙った。特に、前日は消極的な姿勢が目立った外国籍選手3人が、見違えるような強い気持ちでA東京に挑み、勝機を見いだした。

チームに闘志を注入したのは田口だ。立ち上がり、ルーズボールにトップスピードで飛び込んだ田口は、そのまま代々木第二の壁に衝突している。場内の雰囲気作りのため、壁にはA東京のチームカラーである黒い幕がかけられており、壁までの距離が測れないままの衝突だった。「痛かったです。意外と奥行きないんですね、あそこ」と田口はそのシーンを振り返って笑う。手首を示して「ここが折れたことがあるので確認して、大丈夫でした」。試合中の田口は痛い素振りも見せず、すぐに戦いに戻っていった。

「こうやって勝って学ぶことのほうが間違いなく大きい」

そして守備でも、A東京のお株を奪うチームディフェンスが見られた。「昨日やられた分をしっかりアジャストしようと確認して、それを一人ひとりが実行しました。チームディフェンスを心掛けて、かつハードに。昨日のソフトな感じではなく、もうケンカを売るつもりで、気持ちを出して行こうと」

昨日よりも半歩、あるいは指一本分だけでも、シュートチェックを深く、強く。「それが相手のシュートを少しずつ狂わせていったと思います」と田口は言う。A東京はハーフタイムでアジャストして後半に立て直したが、前半は完全に秋田の術中にはまり、3ポイントシュートは12本放って成功ゼロ、フィールドゴール率22.2%と散々だった。

この連敗中に学んだのは、「自分のストレス、フラストレーションとかをコートに出すな、出してはチームにならないということ」と田口は明かす。勝つためには何をしなければならないのか、それをチームに言い続けてきた。「すべてのプレーを『チームのために』って思いながら、一つひとつ気持ち込めてやることが団結の力になるポイントです」

「負けて学ぶこともありますが、こうやって勝って学ぶことのほうが間違いなく大きいです。勝つにはここまでやらないといけないんだよ、というのを一人ひとりが認識できたので。この気持ちを忘れないように、『ここまでやろうぜ』ということを練習中にもう一度、心掛けてやっていきたいです」

代表候補から漏れるも「まだチャンスはあると信じている」

長谷川誠ヘッドコーチは試合後の会見で「来週に試合がないのが残念」と本音を漏らした。連敗脱出でチームのモラルが高まった今、試合はいくらでもやりたいところだろう。だが、リーグ再開は2週間後。チームプレーをあらためて確認し、立て直す大事な期間を、意欲満点の状態で迎えられることは大きい。

田口も言う。「連敗してる時ってしんどいです。やっぱり勝利は明るいニュースで、自分たちの中でも『もっと頑張ろう』とか『こういう力が出せるんだから、もっとやれる』とかを噛み締められます。この2週間の過ごし方が大事なので。再開後の試合で『なんだよ、またこういう感じかよ』とは言われないように、この流れでしっかりやっていきたい」

今日から日本代表の活動が始まる。台湾で2試合のテストマッチ。秋田からは安藤誓哉が初招集されたが、田口の名前はそこになかった。「もちろん悔しいです。自分はジョーンズカップの時に本当に何もできなくて、悔いしか残らない遠征だったので、それは覚悟していました。甘い世界ではないので」と苦い顔。

しかし、ヘコたれないのが田口の強みだ。「このリーグで結果を残してもう一回アピールして、次につなげます。まだまだチャンスはあると信じているので。それを信じてまずチームのために戦った結果、また選んでもらえるように、ひたむきに、がむしゃらにやっていきます」

アウェーゲームが続く秋田の次戦は11月19日と20日、船橋アリーナでの千葉ジェッツ戦となる。