SR渋谷は富山とともにB1で最多となる59試合を全う
Bリーグは昨日、2021-22レギュラーシーズンの全日程が終了し、今週末からポストシーズンに突入する。
今シーズンは稀に見る混戦状態が続き、レギュラーシーズン最後の一試合まで、東地区の優勝チームとチャンピオンシップ出場最後の一枠が未定だった。その渦中にいたのが、東地区優勝を狙う千葉ジェッツと川崎ブレイブサンダース、そしてチャンピオンシップ出場を目指すシーホース三河、サンロッカーズ渋谷、秋田ノーザンハピネッツの5チームだ。
ワイルドカード3位だったサンロッカーズ渋谷は、最終節で千葉ジェッツと対戦。第1戦は序盤で13点のビハインドを背負ったが、得意の激しい守備から立て直すと17-0のランで試合を振り出しに戻した。ラスト1分を切っても1点差と白熱したゲームになったが、70-65で第1戦を落とした。
一方、千葉は勝利したものの、川崎も三河との第1戦を制したことで、この日に優勝を決めることができず、自力での地区優勝を勝ち取るためには第2戦の勝利が必要だった。そして、SR渋谷は第1戦を落としたが、三河も負けていたため、三河の結果次第ではあるが、千葉との第2戦を制すればチャンピオンシップ出場の可能性があり、第2戦もともに負けられないガチンコ勝負となった。
運命の第2戦は第1戦以上に白熱したゲームとなった。SR渋谷が第3クォーター中盤まで2桁前後のビハインドを追っていたものの、高橋耕陽や渡辺竜之佑が奮闘し、第4クォーター序盤に逆転。その後は1点を争う時間帯が続いたが、残り12.5秒に富樫勇樹に3ポイントシュートを決められ点差は4点に。それでも残り7.4秒にはベンドラメ礼生も3ポイントシュートでのファウルを獲得し、3本中2本を決めて詰め寄った。そして、外した3本目のリバウンドを自ら取ってシュートを放ったが、惜しくもサイドラインを踏んでしまいポゼッションは千葉へ移り、71-73で第2戦を落とした。
最終節は三河とSR渋谷がともに連敗し、一方で秋田が三遠ネオフェニックスに連勝したため逆転でのチャンピオンシップ出場を果たした。
この2日間合わせてわずか7点足りずにチャンピオンシップ出場を逃し、伊佐勉ヘッドコーチは「昨日同様クロスゲームで、コーチの差が出てしまったのが自分自身の反省です」と第2戦後に語ると、悔しさを滲ませつつも最後まで戦い抜いた選手を称えた。
「選手はプランを含めて、今シーズンやってきたことを最後の59試合目までやり尽くしてくれました。最後に2点足りなかったのは残念でしたが、選手はこれ以上できないぐらいサンロッカーズのバスケットを表現してくれたので、結果に結び付かなかったこと以外は選手の努力に感謝しています」
「 チームとしてサンロッカーズというのを表現して出し切れた 」
司令塔として、そしてキャプテンとしてチームを牽引したベンドラメは、この最終節について「久々に試合前からすごく緊張した」と言うと、「この2日間、チームとしてサンロッカーズというのを表現して出し切れたと思います」と続けた。
「最後の最後であと一歩足りなかったところは、スタッツを見ても分かる通り、個人的にも仕事ができていなかったとすごく責任を感じています。チームとしてもっとより良いシュートを作り出すゲームメークが必要だと感じました」と言い、大事な試合を勝ち切った千葉を称えた。「プレッシャーがある中でしっかり勝ち切った千葉は流石だなと感じましたし、あと一歩届かなかったのはすごく悔しいです」
今シーズンのBリーグは年明け以降、新型コロナウイルスの影響で試合中止が相次いだ。そのため、B1でレギュラーシーズン60試合すべてを実施できたチームは一つもない。B1全体の平均試合数が54.9試合となる中で、SR渋谷は富山グラウジーズとともに最多の59試合を全うした。
ベンドラメは「サンロッカーズ渋谷がしっかり59試合を戦い抜けたことは、もちろん誇りに思っています」と語りつつ、「難しいシーズンでした」と2021-22シーズンを振り返った。「誰が悪いわけでもないし、こういう状況の中でアウェー会場に行って試合が中止になったりすることがたくさんあって、コンディションのところでもすごく難しいシーズンだったと思います」
また、千葉との第2戦は、船橋アリーナにいたファンだけでなく、多くの人が注目した一戦でもあった。第2戦が行われた5月8日、三遠に勝利した秋田は、SR渋谷と三河より1時間早く試合を終えたため、自分たちの運命は両チームの結果待ちに。そして、三河は、SR渋谷と同時刻に試合を行ったが早く終わったため、会場スクリーンで千葉vsSR渋谷戦を映し、ウィングアリーナ刈谷にいる多くのファン、そして地区優勝の結果を待つ川崎とともに試合を見届けていた。
千葉ファン、SR渋谷ファンだけでなく、三河、秋田、川崎と多くのファンや関係者が見守る中で、SR渋谷は千葉との激闘を繰り広げ、バスケットが好きな人なら誰しもが熱狂するゲームを見せた。
もちろん、敗れた悔しさはあるが、ベンドラメはプロバスケット選手として「勝つしかない、負けたら終わり。どのチームも同じメンタルで今回、試合をしていて、バスケファンには楽しんでもらえる試合、熱い試合をできたのはプロとしてすごくうれしいこと」と語る。
「サンロッカーズ渋谷ファン、千葉ファンじゃなくても楽しめる試合というのは、バスケットボール選手として一番求めていることです。ファンの人が楽しむ、バスケットで熱狂してもらえるのが僕たちの一番の仕事だと思っているので、もちろん勝ちたかったですが、そういった試合をシーズン最後にコートの上で表現できたのは良かったです」